「大阪・吉村知事「ワクチンは大都市部に優先配分を」 政府に要望へ | 毎日新聞」

 それが現実的だと思う。埼玉知事も優先配分を要請している。

参考リンク:新型コロナ: 埼玉・大野知事、ワクチン首都圏優先配分を河野大臣に要望: 日本経済新聞

 どう考えても首都圏の現役層からが正攻法だろうと私は思う。感染拡大源から抑えていく方が合理的。思考がそこに至るまでに時間がかかりすぎるというか、「高齢者優先」「全国平等に」と一度は格好良く振る舞ってみないと気が済まないのか、周囲の目が怖いのか。おりこうさんであろうとするばかりに1〜2テンポ遅いのが日本的。

 イギリスで先行例があるにも関わらず、五輪相の「とりあえずワクチン1回目だけでも」も袋叩きに遭うので、日本人が必要以上に世間体を気にする理由は理解しているが、精神的に正しくあることと、現実的に良い結果に導くこととでは全く意味が異なり、この問いは宗教なのか政治なのかと同じ意味を持つ。

 混乱時は混乱時らしく、「急を要する(正しく緊急事態宣言の名の通り)ので綺麗事は言ってられず現実的に進める」とした方が平和ボケした日本人に伝わりやすい政治だと思うがどうだろうか。

 税金と同じで「所得に対し同じ比率」ならフラットタックスで、ワクチンを人口比で配ることになる。しかし稼ぐ力に応じて累進課税を採るならば、大都市圏が+αの配分を受けるのは自然な考え方。大都市圏が落ちると税収も減り、結果として国全体に負担をかけるから。

 同時に「アンタに頑張ってもらわなきゃ困る」(北斗の拳的な)という能力差・実力差を決定付けることでもあり(高額納税者と庶民と同じ)、全体の思考が成熟しないと反発を招く。

 日頃、そういった義務と責任と権利と保障のような現実的な議論にフタをしている日本は思考の成熟に時間がかかり、いざというときに皆が手を繋いで一斉に前進するものだと思っている人が多く、優先順位をつけられず間に合わない

 現実の社会とは、完全並列(パラレル)はあり得ず、常に直列(シリアル)。特に物理的・時間的に制限がある場合は必ず順番が存在し(距離があれば時間が存在し、時間が存在すれば順位が決まる自然法則)、その順番の決め方はサイコロ(ランダム)ではない。高度文明社会におけるその順番の根拠となるものが義務・責任・権利・保障などの社会基盤。

 というわけで大都市は義務と責任に基づき多いに優先請求すべし。