「ギフテッドの査定にはFSIQの代わりにGAIを使うことを勧めている」らしい。

 こちらの資料は子供用のWISC-IVをベースに書かれたものだが、

全米ギフテッド協会(NAGC, 2008)は,ギフテッドの査定にはFSIQの代わりにGAIを使うことを勧めている

とある。

 FSIQは10下位検査の合計から算出されるもの。GAIはIVから(多分)の概念であり、言語理解(VCI)+知覚推理(PRI)の合計から算出される。

 私は成人用WAIS-IVしか知らないのでその前提での見解として、言語理解のうち「類似」はまだ言葉の理解力を問うているが、「単語」は古典的に言えば良く本を読む人ほど高く出やすいし、「知識」は最新版をリアルタイムに(=標準化されてすぐ)受けないとあまり重要な意味を持たない(それでも最先端の内容ではない)。時代の流れが速く「知っておくべきこと」が流動的だから。その一方で「理解」こそが本質的な世の中の構造理解を問うているように思うが、これは成人用では補助検査であり言語理解指標の算出に使われない。

 という点から、言語理解は児童の学力との相関はあったとしても、生得的な知能を測定しているかというとそうでもない。

 知覚推理の「積木」「行列推理」「パズル」(成人用のみ)は頭の回転の速さを問うているように思えるが、補助検査の「バランス」(成人用のみ)の方がプログラミング的(すなわち現代的)思考力と言え、「パズル」と入れ替えるか基本検査に格上げした方がイイんじゃないかと思う。同じく補助検査の「絵の完成」は知覚推理というよりは注意力を診ているように思う。

ギフテッドやLD,ADHD,外傷性脳損傷,自閉症,アスペルガー 障害,運動障害の多くはGAIがFSIQより5ポイント以上高く,反対に知的障害の多くはFSIQがGAIより5ポイント以上高い

 私がイチバン解らないのはココ。「ギフテッドや」に〜〜障害が続くのはなぜか。「ギフテッド」とはもはやそういう括りなのか。

「GAIがFSIQより5ポイント以上高く」とは、要はワーキングメモリー(WMI)と処理速度(PSI)が低いため全検査IQが下振れするということ。

 ※「低い」とは必ずしも平均よりも低いとは限らず、GAI水準から見て低いということであり、GAI: 140とCPI: 120という場合もあり得る(140よりは低いが平均よりは十分に高い)。だから例え凸凹があったとしても、普通の人よりは機能性が高いかもしれない可能性があり、一律にあてはめると解釈を誤る。

ギフテッドを査定するのに最もよい下位検査は言語理解指標 (VCI)を構成するもので,その次が知覚推理指標(PRI)の下位検査である

 この方向性は私が考える知能検査とは真逆を向いている。

 例えば発達障害等の診断のために何度か(または頻繁に)知能検査を受けている児童は、暗記によって言語理解の数値が高まることは必然であり、言語理解のスコアが高いことを持ってして何か本質的な能力が証明されるかというとそうではないから。

 もし私ならPRI>VCIとし、4指標が全て100を上回っている場合は、CPI=PRI>VCIという重みをつける。

 というわけで引き続き“ギフテッド”という言葉は使わないスタンスで行く。

 ちなみに私の結果はFSIQ: 156、GAI: 151。CPIは成人用ではまだ研究段階らしい。

天才(または秀才)にとって生き辛い世の中なのか。