「病床の多い日本でなぜ「医療崩壊」が起きるのか | 新型コロナ、長期戦の混沌 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準」

 ということから、パンデミック以降医療従事者が無条件に称えられる傾向に違和感があり、実際にはほとんど関係ない医療従事者が多く、称えられたり応援・支援されるべきはCOVID-19患者を受け入れている病院の従事者。

 むしろ病院に行きたがらない人が増え、客が減ってぶつくさ言っている民間の医者の数の方が多いだろう。

 だから(全体としての)医療が崩壊するわけでもなければ、(全体としての)医療従事者が極限状態にあるわけではなく、COVID-19患者を受け入れている病院とその従事者が逼迫している状態。すなわち極めて部分的に偏った状態にある。

 「緊急事態宣言」も名前ほどの威力がない。まるで。

 例えば第2次世界大戦中にこれほどの感染症が流行れば、眼科医だろうと精神科医だろうと歯医者だろうとワクチン接種に駆り出されたはずだ。強制的に。

 それが緊急事態宣言下にあっても大した強制力がなく、個々の権利が優先されている。昨年04月に出されたときは、てっきり戦時下のように全ては“全体”(国、社会)が優先されるものかと思っていた。

 もうこれ以上悠長なことを言ってられないというくらいの数人が死ななければ法律は変わらいっぽい。

 一方欧米は死者数が多く、ロンドンは「制御不能宣言」を出し、いよいよトロッコ問題に向き合うところまで来ている。要はパンデミックが長引けば自殺者や貧困が増え、経済(同時に税制と社会保障)の破綻が危ぶまれ、収束のためには何かを捨てる必要があるかもしれないという思考。

 当然角が立つので、大衆迎合=人気商売的な政治には限界があり、そろそろ「マスクとアイデンティティ」とかそんな話はパンデミックが収まってからにしてくれとはっきり言える政治家が必要な局面に差しかかっているんじゃなかろうか。