ビールをワイングラスで。グラスの脚を持つのが普通になってきた。

 私はあまりビールを飲まないが、家で飲むときはかれこれ16年ほどシャンパングラスで飲んでいる。フォーマルなレストランでどうしてもビールが飲みたくなった時も(滅多にないが)シャンパングラスで。場の雰囲気を乱さないように。

 最近美容室に置いてあったグルメ系の雑誌を見ていたら、シャルドネグラスで出しているお店が数軒載っていた。

 ビールのように冷やして飲むものは脚付きグラスが良いのは言うまでもない。体温で暖まらないように。ジョッキは取っ手が付いているので良いんだが、直に握って飲むグラスは本来不向き(一口、二口で飲み干す人は別だが(笑))。

 科学的に考えたら当たり前のことでもそれがようやく意識高い系のトレンドになりつつ、グラス(脚)の強度が増したことも手伝っているだろうと技術革新にも感心しつつ。

 私ならシャンパングラス。ただ量が少ないので男性には好まれないだろう。その点大きなモンラッシェグラスの方が良さそうだが、あまり沢山注ぐと上部が重くなりバランスが悪い。

 いずれにせよ少量を上品に味わいたい人向け。

 ここ1-2年で制作されたアメリカのドラマは、ワイングラスの脚を持つ人しか見なくなった。リーデルなどグラスメーカーの写真や映像が効いているんだろう。「ソムリエなどプロは脚を持つ」という印象が先行しているので、マーケティング向けにオシャレした若い女性達がグラスの脚を持って乾杯している絵面を多用している。

 上記写真はRiedel社Facebookページのカバー。

  「ワイングラスは脚を持つように」と言ってしまうと、言われた方は自分達がマナーを知らない猿みたいに感じてわざとでも反発し「飲みたいように飲むのがイチバン」とか言い出すので、写真や映像で脚を持っている人達の図を刷り込み続けるのが効果がある。

 観察力のある人達から順に気付き、トレンドに敏感なプロデューサーやスタイリストらが取り入れ(=ドラマ、映画で使われ)、自然に浸透する。

 インスタグラムを見ていても、欧州は元々脚がほとんどだったが、アメリカも最近は意識して脚を持っている印象があり、ピント位置から推察すると「グラスの脚を持ってる私」を強調しているっぽい女性も多い。いわゆる意識高い系。かれこれ20年くらい前から“サイン”は出ていたんだが(笑)。

 日本人はアメリカの影響が強いので、「脚を持つのは日本人だけ」と逆行しつつあった。残念ながら。ちゃんと理論を理解していれば無駄な時間を過ごさずに済む。

 何事も観察力・洞察力すなわち入力。考える(思考力=演算)。そして空気(時代)を読み素早く対応していく順応力(出力)。