木村花さんと「強い人」「弱い人」「繊細な人」|ハイスペック女子のため息|山口真由

 山口女史の連載はもう更新されないのかと思っていた。

 ふと懐かしんでいたら(笑)偶然発見。

 女史はインポスター症候群じゃないか。ハイスペック女子の西側代表みたいなエマ・ワトソンも自ら公言していて、女性に多いとされている。

 自己肯定感の低さと自己愛の強さは確かにそういう関係性にある。自分が自分を認めていないから、他人から認められることで自己肯定感を補うが、端から見れば自己愛の強さでしかなくなる。自分の中の問題だから相談されても周りは何もできず(一見話して楽になったように見えてもまた同じ悩みを繰り返すから)余計にそう見える。

 しかし繊細だから、感度が高いから弱いかというとそうでもない。

 例えば犬の嗅覚は人間の数千倍から1億倍(成分によって異なる)の知覚能力があると言われているが、だからと言って壊れやすいわけではない。人間の鼻は何種類かの芳香成分を立て続けにテイスティングするだけですぐに鈍化・馴化するのに対し、犬ははるかに耐性がある。だからこそ警察犬や麻薬探知犬にもなれる。信頼の証。品質保証的な。

 一方、繊細な人から図太い人(笑)を見ると、何であんなに強い(面の皮が厚い)んだろうとイチイチ驚かされるが、強いんじゃなくてそもそも知覚していない可能性もある。

 知覚していないから認知されず気付きもしないとか。だから悩まずに済む。

 「頭」で言えば、賢い人は多くのことに気付くし、事の重大さを理解できる。それ故に憂鬱になることもあるだろう。一方頭が悪いと、仕組みもルールも理解できずただ政治家を無能呼ばわりしていれば済む。この先の人口減・税収不足を憂えることもないだろう。

 頭が悪い(ことに起因する鈍感な)方が強いはずもなく、どう見ても頭脳の時代。そもそもヒトは「知能の高まり」によって進化してきた。

 設計で言えば、構造を単純化することで壊れにくくすることは可能だが、機能性が低く時代のニーズに対応できないため、需要が少ない→スケールメリットが得られず割高になる→ますます売れない→消えることも多々ある。種の保存という意味では弱い側に分類される。結果的に多機能で繊細かつ複雑なデジタル端末の時代になった。

 すなわち「頑丈か繊細か」は「強いか弱いか」とは一致しない。

 敏感か鈍感かについて考察する際、ネコとネズミとトキソプラズマの関係がオモシロイ。

 参考リンク:

 トキソプラズマはネコを必要とするため、ネコが好きなネズミに乗り移って脳を支配する。具体的にはネズミがネコを怖がらなくなるよう仕向け(鈍感にさせ)、ネコに捕食されやすくすることでネコ間の感染を促し増殖していく。

参考リンク:種の保存の法則について - 薬剤師が知っておきたい世の中の法則

 前述の日経記事には「トキソプラズマに感染した人は交通事故に遭う確率が2倍以上高まるが、これはトキソプラズマが反応時間を遅くするため」「トキソプラズマ感染は自殺率の上昇に関連しているという別の研究チームの報告もある」とある。

 鈍感にさせることで支配する。敏感だと異変に気付きやすいから対策を打たれてしまい(病院に行くとか、予防検診を受けるとか、薬を飲むとか)、支配する側にとって何かと都合が悪い。

 自殺は鈍感から導かれるのではなく、繊細である(思い悩んだ)ことに起因すると考えられるが、死への恐怖心(知覚・認知)が敏感だと思いとどまってしまう(死ぬ勇気がなくなる)ので、深く悩んだことで脳が疲弊・麻痺した結果、恐怖心などの認知能力が低下した=鈍感になった際に起こりうると考えられる。または記事の通りトキソプラズマ感染などによって認知機能が低下している場合。

 セキュリティ分野も同じく。鈍感な人が多ければ多いほど侵入者にとって都合が良い。アンチウイルスソフトを入れない“ノーガード戦法”の人とか。コロナウイルス対策と同じで「自分は感染しない」と自信満々のオッサンとか(笑)。

 対策を打ったとしても高度な知識と技術の戦いなので、どっちが頭が良いかすなわち知能戦となる。これもコロナウイルス対策と同じで、確かな知識がないと意味がない対策をとってしまう(洗剤を飲むとか)。

 よって少なくともセキュリティ分野においては、鈍感で頭が悪い(良くない)こと=人的脆弱性であって、文字通り強い側にはいない。

 ということからも鈍感=強いとは決して言えず、気付かないことで高まるリスク(病気とか)を考えたら、敏感な方が長生きする可能性が高い。歯の治療よりも予防の方が効果が高いこと然り。

 一方で、この20年ほどで急速に空気が読めない人が増えていることから、ヒトの遺伝子は複雑な社会で少しでもストレスを軽減するために「選択的鈍感」を採択している可能性もある。

 更にそれはなぜかと問うならば、過去(親先祖の代)に強いストレスを感じた=強くなかった遺伝子が生き残るための術だったかもしれない可能性がある。

 これは毎日小言を聞かされる人が発症する難聴と仕組みが似ている。聞こえない方が楽だから身体は本当にそうなっていく。或いは構って欲しい、優しくされたいから本当に病気になってみせる人もいる。

 というわけで強いか弱いかはその時その場で判定できるものじゃない。

 で女史は連載に自分の自己愛についてぶちまけているのだから弱くはないだろう。本当に恥じていたりコンプレックスになっている人は公表しない。それを自分自身が弱点(=公表してますます不利になる)として捉えているから隠そうとする。

 ということは、ぶちまけることによって得られる反応を検索して確認(笑)することで社会の相場観を測り自己統制(補正)しているんじゃないだろうか。すなわち「発信」はバランサーとして役割。

 ヒトは出力に対するフィードバックがないと知覚・認知・思考(演算)の良し悪しと優先度の判定できず学習効率が下がるため、これを確認するのは賢くあるためにごく自然なこと。人工知能の学習も同じように行われる。いわゆるバックプロパゲーション

 イイんじゃないか。