褒章のしおり。

 久しぶりに開いたファイルの中から“褒章のしおり”が出てきた。

 ※正式名称は勲章・褒章受章者のしおり。

 1回目は30才になってすぐだったので、上着のどこにどうやって付けるのかもわからず(バッジ式じゃないから)、当時スーツを仕立ててもらっていたテーラーに相談したところ、ちゃんと正装マニュアルのようなものを備えていて、それを見ながら燕尾服を作ってもらった。結局リボンを通す「ヒモ」を付けるだけだったが(笑)。

 1)「このしおりを見ながら作れば?」と思われたかもしれない。しかしこのしおりは褒章と一緒にもらうものなので、コレを見ながらじゃ間に合わない。

 2)ちょっと知ってる人なら「モーニングじゃないの?」と思われたかもしれない。勲章なら皇居でモーニングを着ることになるが、褒章はそこまでではなくて(*A)フォーマルスーツ+ネクタイ(「規程はない」らしいが)。燕尾服はその夜のパーティー用に。

 (*A)それでも褒章と一緒にもらう“状”(正式名称を知らない)は日本国天皇の名で書かれている。私は個人だったので両方もらったが、法人や団体だと“状”のみらしい。

 私が燕尾服を着ると、指揮者か映画監督だと思われることが多い(笑)。

 燕尾服の生地もドーメル(の“セレブレーション”)で。だから私とドーメルの生地は運命共同体というくらい深い仲。

 2回目以降は年月日の入った飾版(銀色)のみ。それが5個になったら金色に変わる。私は飾版も1つもらったが一生のうちに金色になるかどうか。

 他2つの公的なメダルをもらったので、全部胸に付けると上着が型崩れするくらい重く、燕尾服にはしっかりと芯を入れてもらった。

 ※一応断っておくと私は軍人じゃない。今も昔も。海外で「国からメダルを」というと軍関係も多いから。

 テーラーとは、お金持ちが高い派手なスーツを作るところだと思っている人も多いが、付き合いが長くなると、冠婚葬祭から勲章・褒章の授章式に着る服、その後のお祝いの席で着る服(それが午前なのか夜なのかでも違う)まで人生の多くのイベントを共有する関係となる。

 ちなみに余程近しい人にしか話していないので、今の私の周りにいる人はほとんど知らない。自宅に招いた人だけ“状”を見て「何で日本国天皇って書いてあるんですか」と驚く感じ(笑)。

 もちろん一度も履歴書の「賞罰」欄に書いたことがない(笑)。雇われじゃないので履歴書を書くことがない(笑)。だから一度もその「効力」を体感したことはないが、通常はプロフィールに書くものだろうと思う。

 というわけで、男はスーツについてどのくらい解っているかで、大凡の社会的な経験値が見て取れる。あと税金

 という“目安”を女性陣に伝えたく書いてみた(笑)。