「男らしさが苦しくて 19日「国際男性デー」 「大黒柱」「仕事第一」…刷り込み重荷 | くらし | くらし | 中国新聞デジタル」

「男なんだから良い大学を出ときなさい」。広島市安佐北区の男子高校生(17)は、進路選択で親と祖母から言われる一言が引っかかる。「大黒柱として一家を養うにはある程度の収入がいるし、頭が良くないといけん」というのが理由らしい。でも「女性も活躍する時代に『養う』なんて古い。家事育児も夫婦で分担するものだと思うのですが…」と首をかしげる。

 疑問に思う気持ちは解るが、疑問に思ったから結果が変わるわけではない点が重要。「祖母の考えが古めかしい」という事ばかりに気を取られてしまいがち。

 まず「女性も活躍する時代に『養う』なんて古い」と感じたのはなぜかと問うてみる。

 「働くのは男性、家事は女性」だった時代から、男女ともに働く時代となり、女性は金銭的自立と共に結婚(大黒柱)をあてにしなくなったからだろう。

 ということは、仕事における男性のライバルは男性だけでなく女性も加わったので、例えば入社試験や出世競争の競合が単純に2倍に増えたことになる。

 しかし求人が2倍に増えているわけではないので、古典的な男性社会で想定されていたシナリオの成就率が全て1/2の確率になったということ。男女平等が実現すればするほど1/2に近づいていく。

 例としては「勤続15年で部長になり、その頃には年収NN円もらい、住宅ローンの審査も通る」といった大凡の目安通りになる確率が半分になったと考えていい。

 偏差値で換算すると、これまで2人に1人の確率だった偏差値50だった人は、競合が2倍に増えたので、4人に1人の確率である偏差値57ないと、過去の偏差値50的な人生が得られなくなったことを意味する。

 学歴(大学)も同じ。

 働くようになった女性達は、「女は短大で十分」と言っていた時代と変わって4年制の大学を出るようになったので、いわゆる「大卒」と言えば男という時代ではなくなった。

 ということは「大卒だから」は何ら優位なものでなくなり「働いている人はみんなそう」程度のものになったのだから、今度はその水準での競争が始まる。必然的に二〜三流大は無価値化するだろう。

 よって記事中にでてくるお祖母さんの「男なんだから良い大学を出ときなさい」は、今の時代を反映して「男なんだから」が削除されるだけで、「良い大学を出ときなさい」は変わらないどころか、「10年20年前の基準よりももっと良い大学を出ときなさい」ということ。

 これは、家事をする男性が増えると「家事ができる」ことが何ら優位なものではなくなることと同じ。

 同じく「女性だからパソコンわかんない」が“カワイイ”時代ではなくなっていくだろうことのように、結局は男女共に何でもできなきゃ人並みの生活が得られなくなりつつあると言える。