「「大口顧客も門前払い」銀行融資のおかしな現場 | 金融業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準」

 この場合の「大口顧客」とは結局のところ“すげー金額の借金をしている会社”なので、「ちゃんと返済している」からと言って次の融資も無条件に取り扱える関係値ではない。

 ということじゃなかろうか。

 要は金利を付けて返済している間は顧客であっても、一回でも返済が滞れば債権者と債務者の関係でしかなくなるので、言ってみれば条件付きの顧客

 クレジットカード会社とカード所有者の関係と同じ。カードで決済した瞬間から、カード所有者は引き落としまでの約1ヶ月間はカード会社に代金を立て替えてもらっている関係なので、借金をしている状態。無事引き落とされたら「顧客」※と呼ぶだけで、引き落としができなかったら法的にも債権者と債務者でしかない。

 ※「顧客」と呼ぶのは、カード会社が店舗から徴収する約5%のカード手数料が入るからであって、取扱高10,000円中500円でも損失を与えると縁を切った方が良い相手と化する。

当時の筆者の会社は黒字を計上しており、現金の蓄えも1億円以上あった。きちんと財務資料を見てもらえば優良顧客になりえたはずだ。にもかかわらず、審査の前に断られた。いわゆる「門前払い」を食らったわけだ。

 何もせずに1億円の預金があれば優良顧客かもしれないが、今から事業のために例えば10億円の融資を受けようとしている場合、1億円は住宅ローンで言うならば頭金程度(10%)でしかないので、貸す方から見たら「持っている」うちに入らないんじゃないか。

 「事業がうまく行けば返済できる」というシナリオなので、現状のようにパンデミックでも生じようものなら返済が危うくなる可能性が十二分にある。

 という性質の関係性。

 全く異なる視点の一例として、私は銀行からお金を借りたことがなく、借りてくれと頼まれる側にあった。

 第一勧業銀行時代からずっと使ってきたみずほ銀行は、一度支店を移ってからは窓口の女性以外は私と会ったことがなかった。当時はある程度の額になるとイチイチ窓口で振込用紙を使って手続きしていた時代で、度々窓口の女性から引き留められて「担当者がご挨拶を」と言われてはトンズラ(笑)していたので、先方も営業するスキがない状態だった。が、運悪く(笑)電話を取ってしまい、仕方なしに会うことになった時の話。

みずほ銀行の3人:ついにお会いできました。

私:運の尽きですね(笑)。

みずほ銀行の3人:あははははは。

私:で、挨拶は済んだのでこの辺で(笑)。

みずほ銀行の3人:あははははは。

みずほ銀行の1/3人:実はお話したいことがありまして。

私:ではズバリどうぞ。

みずほ銀行の1/3人:お金借りてください(笑)。

私:あははははは。

みずほ銀行の3人:あははははは。

私:あははははは。

みずほ銀行の3人:あははははは。

 シーンッ。

私:あぶない刑事(の試写会)を観に行く約束がありまして(笑)。

的な。

 で、その後徹底して顔を合わせないようにし(笑)、全てがオンラインで完結する時代になった。

 当時はまだダイナースカードの入会基準にも満たないヤング(笑)で27才くらいだった。

 銀行もギャンブルじゃなく営利の仕事なので、相手や職種(平均的な完済率や利益率など)を見て対応が変わるんだろう。

 結局のところ、ヒトは自分から見える景色しか知りようがない。