自己主張と客観的評価の関係。

 例えばIQ 120の東大生がいて、パッと見冴えないとする。頭の悪い人は「IQが高くても意味がない」「東大を出ていても意味がない」と扱き下ろすんだが、ほとんどの場合は、「IQが高い彼・彼女にも難しいんだから、アンタにはもっと大変」「東大を出た彼・彼女に大変なんだから、アンタはもっと無理」が現実的。

 その学歴がなければ入れもしない会社もあり、その会社が求める品質はそれ以外の一般人に求められもしないことの方が多い。すなわち期待もされてない人が多いから批判もされずに済んでいる人が多いだけ。

 そもそも短絡的な発想の人は、何が難しく、何が大変なのか、問題自体を理解していないことが多い。下手すると世界中に点在している「コロナウイルスなんて存在しない」というレベル。

 前置きが長くなったが、ロシアでもオモシロイことが起きている。

 ロシア政府が、自国産ワクチン「スプートニクV」を売るため・自国民に接種させるために、ファイザーやアストラゼネカ、モデルナ製ワクチンの“悪い点”をメディアを使って国民に刷り込んだところ、「アメリカやイギリスでさえ良い物が作れないなら、ロシアにソレができるはずがない」すなわちスプートニクVは「もっと悪い」という認識が広まっているらしい。ロシア国民の間で。

 だからますます打ちたくない人が増え接種数が伸びない。

 ロシア政府としては、せっかく世界に先駆けてスプートニクVを発表したのに、「ロシア人は皆海外製ワクチンを接種している」なんて広まったら販売に響くと考えるのは自然。だから自国民には率先してスプートニクVを打ってもらいたい気持ちはわかるが(なおかつ海外製ワクチンの輸入を禁止している)、もともと宇宙物とライフル以外に「Made in Russia」が他国製品を凌駕しているものが少ないため、ロシア人自身が「Made in Russia」の品質を信じていない。

 これが日本だったら上手くいっただろう。外国産ワクチンよりも日本製の方が優れていると信じる人が多いから。

 この辺が「日頃」が出るところ。

 ロシア人も世界中も文句なく認めているのは「ロシアの女性は美しい」であり、仮にロシア政府が外国人女性との結婚を禁止して「ロシアには世界に誇る美しい女性が沢山いるじゃないか」と自国男性に呼びかけたら皆「確かに」と納得するだろう点もまたオモシロイ。

 ということから、自分がどれだけ優れているかをアピールしてもあまり意味をなさず、市場が判断し他人による客観的評価に落ち着くということが言える。“相場”そのもの。