また美容室を探し中。ワクチンと接客業。

 定住先が見つからず、また美容室を探し中(笑)。山のようにあるのに全くどこもピンと来ない。

 最近コロコロ変えているので何人かの美容師とワクチン接種について喋る機会があり、同じ接客業でもデパートのスタッフ(いわゆる「ただの店員」であっても)とは違うなと思う。

 デパートのスタッフは「早くワクチン打ちたいです」「やっと自治体の予約が取れました」「ようやく職場接種の順番が回ってきました」から「1回目打ち終わりました」「2回打ち終わりました」のどれかだが、美容師は大方「腕が上がらなくなるって言うじゃないですかー。仕事に支障を来すんでタイミングが」という感じ。

 確かに腕が上がらなくなったら仕事に支障を来すが、接客業なんだから自分のことばかり考えてなくて客側にもちょっとくらい配慮してみないかと言いたくなる。客が離れたら仕事自体がなくなるんだから。

 美容師もデパートのスタッフも、個々の従業者に学歴や思考力に大差はないにしても、所属している会社(=テナント[すなわちブランド])の規模や、現場(=デパートとして、美容室として)の意識・認識の教育レベルの差を感じる。

 「うちの店からクラスターなんて出ちゃ困る」はデパートのテナントも美容室も同じだと思うが、ブランドとして+デパートのテナントとして二重にうるさく教育されるのと、一店舗としての美容室とでは大きな違いがある。要は“責任感”の要求が「2つの会社」(ブランド+デパート)と「店長」という差。

 美容室の場合、ギリギリのスタッフでまわしていて休まれると困るから店長側もうるさく言わないというのもあるだろうし、美容師側ももし店からクラスターが発生し休業→経営悪化となれば店を移ればいいというノリかもしれない。

 今はそれでよくても、「1杯目のドリンクが1円 ワクチン接種者に特別サービスの動き」というお店でも出てきたようだし、もうすぐ日本の人口の半数が2回目接種を終える(今日現在で47.1%)ので、そろそろ客側から「ところでアンタは打ったの?」と問われ出す頃合い。

 これまでは打ちたくても予約が取れず打てなかった人の方が多かったから、「まだ打ってないの?」的なことも言われずに済み、気にする必要もなかっただろう。しかしヒトとは自分が済んだら「あがり」みたいな気になって他人にも要求する生き物。非喫煙者よりも元喫煙者の方が喫煙者を毛嫌いするソレと似た心理。

 「ワクチン接種者にサービス」とは「ワクチン接種者歓迎」の意思表示なので、それで店の従業員が接種していなかったら話しにならない。ということは「うちのスタッフは全員ワクチン接種済みです」を売りにする店舗が出てくる流れ。

 そういうお店が増えると、場合によってはHOT PEPPERビューティーやオズモール、一休などが掲載店舗の従業員ワクチン接種率なんてのを掲載するようになるかもしれない。「消毒してます」「マスクしてます」なんて書くよりよっぽど意味があるから。

// IT業界で言えばプライバシーマークやISO認証のような意味合いを持つことになる。

 ある日突然そんな表示サービスが始まると、店長は慌ててて「全員打て」と言い出すかもしれないが、2回目の接種完了から2週間となるとファイザーの場合5週間先だし、そもそもすぐに予約が取れない。ということは、コツコツと接種を進めてきた店舗に対し、場合によっては2ヶ月以上の遅れをとることになる。

 まだ「皆一斉に休めないので、シフトを調整しつつ順番に接種しています」とかならわかるんだが、「腕上がらなくなると困るしー」は接客業として責任感が足りない気がする。顧客ファーストじゃない。客がいて店が存在する。店が存在して仕事があるという順番。

 本来日本の「おもてなし」とは、「お客様をお迎えするにあたって」と、まずは自分達側の姿勢を整える文化だったと思うんだが、今となっては「顧客に対する責任」なんてのは教えられなきゃ考えもしないし、教える人もいないという時代なんだろうなと感じる。

 私から見ればそんなのは社会人になってから教わらなくても小さい頃から家で散々聞かされて育っただろうという話だが、言い換えると育ちが良い人とは社会に出た時点で何歩もリードした状態でスタートする(だから子育て中の人は未来への投資だと思って教養教育を頑張って)と言いたい。

 というわけで、時代の流れを感じ取っている相場観のある美容室(笑)を探したい。