「軍服から銀幕、そしてランウェイへ。永遠のクラシック、“トレンチコート”の歴史と魅力」

 今年、17才の頃ぶりにトレンチコートに戻った。君の瞳に乾杯(カサブランカ)をキメたいからじゃなくて(笑)。

 定番中の定番バーバリーの最も細身なチェルシー

 ※細身と言ってもサンローランほどじゃない。

 長年シャツからスーツ、コート、バッグまでずっとテーラーで作っていたので、既製品コートを買うのは24年ぶりくらい。もっと言うと他人がデザインしたものを着るのがそのくらいぶり。

 小さい頃からベストやジャケット必須だった私は軍服のような引き締まった格好が好きで、学生服も全く着崩さず、毎日ワイシャツでカチッと型通り着ていた。学校には早くても11時頃からしか行かなかったが(笑)。

 私が11時頃教室のドアを開けると「おっ、来たな重役出勤(笑)」という数学の男性教師がいたことを覚えている(笑)。その先生はちょいワル男子生徒にも恐れられている存在だったが、なぜか私には一言もウルサイことを言わない人だった。

 話は戻ってトレンチコートは軍服そのもの。今もなおDリングが付いている。

 バーバリーブティックで試着した際、一番上までボタンを閉め首のホックまでかけると、「軍服がお似合いになりそうですね」と言われたので、「ココ(胸を指して)にメダルですかね」と言えば「勲章もお似合いになりそうです」と返ってきたので、「勲章ではありませんが国からもらった褒賞はもってますよ」と応えると「・・・」的な。

 「似合うか似合わないか」という感性による評価にもちゃんと“事実”が付いてくる方が説得力がある。

トマス・バーバリーは1879年、丈夫で耐水性のあるツイル生地”ギャバジン”を考案し、その生地を用いてトレンチコートの原型とされる”タイロッケンコート”の専売特許を1912年に取得。そして遡ること1850年代には「アクアスキュータム」(”遮水”という意味)社が初めて撥水性のコートを開発したことを忘れてはいけない。 --- 2/9

 アクアスキュータム=遮水とは知らなかった。英語に堪能なら読んで字の如くだが(笑)。

 胸元のネクタイがイイ。


 コートを着て夏物のパナマ帽だとオモシロイが(笑)。

「バーバリー」や「アクアスキュータム」によってデザインされたギャバジン、あるいは、その他の耐水性の記事でできたコートは、将校の階級を示すバッジをつけるためのエポーレットや、ボディ部分を防水するためのケープ、軍事用品を下げるためのベルト後ろのDリング、右胸のガンフラップなど、軍服としての機能を備え、ぬかるみのなかでも引きずらないように十分に短い丈と進化を遂げて行った。

 コートはシングルの超ロング丈(階段では少し持ち上げないと地面に擦りそうな丈)が好きだったが、トレンチはレギュラー(ミディアムレングス)にした。十分長い。

 付属の素っ気ないベルトの代わりにバーバリーのスカーフを巻こうかと試したところブティックの女性陣からは全面支持(笑)を得たが、ちょっと女性的過ぎるかと躊躇っているうちに、初めて着た日は付属ベルトを絞めて、木枯らしの中ヤロー3人でテラスでケムリ(葉巻)を吸った(笑)。それ以降暖かくて着る出番なし(笑)。この2年は夜出ないから特に。

 ステファノリッチのネクタイはちょっとノリが異なり、バーバリーのヴィンテージチェック柄でおりこーさん(笑)にしておくのが無難か。もはや制服級だが。

 が、全身英国調で固めると堅苦しくなるので、ところどころにフレンチやラテンのテイストを織り交ぜるのが好き。スカーフはエルメスとか。

 都心の屋上テラス席で、ボルサリーノをかぶってキューバ葉巻に火を灯し、コニャックグラスを傾けつつ霜月のチョコレートフォンデュもいとをかしぃ。

コニャックグラスとコイーバとチェルシーの図。


 ブティックで購入する際、無料でボタンを交換できるので是非オススメしたい。ちょっとしたオリジナリティが楽しめる。一部のブティックではしっかりカスタマイズできるビスポークサービスを提供している。