手強いズッカ。

 フェンディと言えばズッカ。最近は「ズッカ」ではなくFFロゴ(マーク)と呼ぶようだが、とにかくこのズッカは手強い。

 zuccaとはイタリア語でかぼちゃの意味。しかしハロウィン時期に染まるヴーヴクリコが似合うかぼちゃオレンジとは違い、かぼちゃの外側の皮の色。茶色よりもズッキーニの外側の色に近い。

 これまで普段「フェンディの茶色」くらいにしか捉えていなかったが、いざ合わせようとすると、ただ「茶系」で揃えたらイイってもんでもなく、その差異がモヤモヤしてくる他の何物にも染まらない特殊な色。

 FFマークの中にはしっかり茶色というものもあり、私が言っているのは柄じゃなくて色のことで、下記のような古典的なズッカの色のこと。

 マックのデジタルカラーメーターで見ると、10進数表記で121, 79, 58という色。WEBカラーの茶色#734e30(16進)と比べても3原色の比率は大して変わらないんだが、まさしく異色。

 緑が混ざってるのか。だとすれば色覚異常者がイチバン苦手な色(笑)。

 「ルブタンレッド」や「ティファニーブルー」を筆頭に、近年では「ボッテガグリーン」など、ブランドを単色で認知させるセンスとそのブランディング力は敬意を払うほかない。その中でもフェンディのズッカは実に手強い。

 結局全部フェンディズッカで揃えるしかなくなる強情で傲慢な色(笑)。

 私は色覚異常の割には常に一瞬でコーディネートが浮かぶ方なんだが、このズッカはどうにもカクテルにしようがないから諦めてストレートで飲もうというお酒みたいな存在。

 さすがラガーフェルド。

 今年の課題ができた。

 あまりにも個性が強すぎ、下手に料理するより素材そのものを楽しもうという考え方は実際にある。しかし見方を変えると、素材の個性に料理人の腕(感性)が下回った瞬間でもあり、素材の質(すなわち生産者の努力)に頼りすぎ味付けが得意じゃない日本の料理人のようになることを選ぶくらいなら、私はこのフェンディズッカを制圧(笑)するまで一歩も引かなことを選ぶ(笑)。

 相乗効果とはそういうことであり、五感とは常に研ぎ澄まされ、他者に何かを与える存在でなければならないというのが私の“天才”の在り方。