迫り来るシャネル。

 去年の夏頃、シャネルのショーケースに飾られていた婦人シューズ(男性の革靴っぽいデザイン)があまりにも美しく立ち止まって見ていたら女性スタッフが声をかけてきた。「メンズがあれば欲しい」とナイと分かっていながら追い払うため(笑)に話したところ、婦人物しかないがサイズを合わせてみないかと誘われた。

 ルブタンのローファーを履いていたので細く見えたんだろう。がさすがに婦人物のシューズがcmさえ合えばピッタリという華奢な足ではないので「綺麗な靴が拡がっちゃうんで(笑)」と断った。

 買い物したことのない店舗で、その日も1円も使わないまま去ろうとしたところ、何かあればいつでも何なりとと名刺を渡された。

 そこからまるでVIPかのように次から次へと紹介+用意してくれる。19番レアモデルもクラシックダブルフラップ(キャビア黒を含む3色)もトップハンドルもココハンドル(24cmキャビア)もメンズのスニーカー(笑)も。シーズン最新作もいち早く。やっと社内カタログが動き出したという時点で(笑)。

 結局色違いを除くと全部買ったんだが。

 ある商品はなかなか手に入らないらしく(ココハンじゃなくて)、滅多に顔を合わせないかつあまり行かないデパートの外商員から「うちでもお客様から沢山の問い合わせをいただいたのですが・・・。ちなみにどうやって買われたんですか」と“方法”を聞かれたくらい。

 どうやってもこうやっても、会話の中で「興味がある」と言っただけでスタッフが毎日商品を追いかけ回し(笑)、入荷した暁には連絡が来て見に行って気に入ったらお金を払うだけ。

 エルメスやロレックスと同じく、シャネルは外商部に融通しない(または優先度が低い)だろうから、外商員からすれば確かにどうすれば買えるのか知りたいところかもしれない。

 私は全てのブランドにおいて買い物時に全く外商を通していない。私の方が強い(笑)ので必要ないどころかヒトが間に入ることで足を引っ張られたくない。

 シャネルもその方が心地よさそうにしていて、むしろ外商を挟まないから私に売るのが気楽で話が早いのかなと思うことがある。

 更にオモシロイのは「最初に見ていただきたくて」と毎回言われるようになったこと。商品が店舗に到着してから、検品スタッフ以外まだ誰も触れていない状態で見せたいと言う。

 何もしなくても勝手に売れる商品を、そこまでして私を優先する必要はないと思うんだが。

 売れ残り商品をゴリ押ししてくるならまだしも、入荷数に限りがありなおかつ営業努力を必要としない人気商品を私に売ったとしても店の売上げは変わらないし、私が買えば他の客が買えない可能性が高い。

 それに人気・希少商品をいち早く自分の顧客に紹介したいというスタッフは多いだろうから、店全体の協力が得られないと毎回1人の顧客が最初に商品を見るということはできない。「今度は私の番」という具合にスタッフ同士で取り合いになるから。スタッフ間の公平性の問題。

 が、私が優先されているということは、店全体が大方納得しているんだろう。

 シャネルはエルメスとは全く異なるノリで迫ってくる(笑)。

 気分転換になってイイ。

 私がオンナだったら、迷いもなく全身シャネルだっただろうなと思う。

 で、私がイチバン興味があるのは売場も管轄も異なるコードココ(笑)。バッグ担当の女性スタッフに「時計買ったらあなたの成績になりますか」と尋ねたところ「シャネル製品をお選びいただきありがとうございます!全くなりませんっ」と返ってきた(笑)。

 ウォンテッドとピクセルが好き。

 そもそも時間を見ないので、時計機能や時間の見やすさは重要じゃない(笑)。私にとって腕時計は装飾品。

 せっかく「コードココ」という名称なんだから、自由にプログラミングできる機能が欲しい。そうすれば「腕時計を再解釈した男」と呼ばれるくらい(笑)、画期的かつ個性的な腕時計に仕上げるんだが。