男性エルパト組。

 この3ヶ月くらいだろうか、スーツにネクタイの男性エルパト組をよくみかけるようになった。

 エルメスに行く頻度が減った割に遭遇率が高まっているので増えてるのか。

 オーラ的には経営者ではなく雇われサラリーマン。でも何となく偉そうな自分に自信を持ってそうな顔。

 店内を見て回って何も買わずに最後にバッグを聞くという流れがほとんどなんだが、こう言っちゃ何だが仕事できないだろうなと思う。

 第一印象もそうだし、スーツも安そうだし、歩き方、声の出し方、話の持って行き方、去り際(*1)の「あっそう」的な態度など全てにおいて。交渉力がなく話術が冴えない。

 仕事ができなかったらバーキンなんて買えない(欲しがらない)だろうと言えばそうなんだが、150万円のバッグを持つ人の適正(推定)所得からすれば、そこに達している気配はゼロ。

 大企業の名刺を持ってTVCMでお馴染みの知名度の高い商品を営業するのとは違って、エルパトは本人の印象勝負。

 ましてや買い手(客)側なのにそんなに軽くあしらわれるなんて想定外なんだろうが、そんな暗い顔して「バーキンありますか」「入ることあるんですか」「いつまでに欲しいんですけど」と言っても、そろそろキレそうなDV男にしか見えず、女性スタッフはツライ(多分)。

 一言二言軽い冗談でも言って、スタッフを楽しませるくらいの心のゆとりがない時点で、150万円もするバッグはいらんだろうと私は思う。

 世界中が欲しがってる物が簡単に手に入ったらその時点で価値が下がるので、今こそ全力で勝負に出る時だと思うんだが、そこをわかってない(相場観の欠如)のか元々そういう顔なのか鬱なのか、表情からして重い。

 奥さんや彼女、または会社の経費で飲み食いし親しくなったホステスにプレゼントするためにエルパトしているのか、本人自身にときめきが感じられない。欲しい物をおっかけてる時とは目がキラキラしているもんなんだが。通常は。

 150万円なんて、サラリーマンが初めて(ローンで)買う車レベルなんだがから、もっとテンション高くてイイんじゃないか。

 あんなに事務的だとロレックスマラソンで言うランナー(雇われて買う人)かなという印象さえある。要は「自分が欲しいわけじゃない」感。当然バッグは出ない(出さない)。

 (*1)で「去り際」と書いたのは、社長宅などに飛び込み営業するサラリーマンは、インターホンを押して用件を伝え、ドアを開けてもらえず帰ることの方が多いだろう。奥さんがインターホンを取りその印象を旦那に伝えるというのが一般的かと思う。

 そこで奥さんから旦那に「一度会ってあげて」と言ってもらえるか否かが勝負。

 女性というのはせっかく尋ねてきてくれた客を断った罪悪感(?)もあり、去る姿をしばらく見ていたりする。

 立ち去るなりもう“次”(近そうな対象)に行く様子だったり、見られていることも知らずに電話で「やっぱダメでした」と報告する姿だったり、イライラしながら頭をかきむしる姿だったり。

 就職時の面接の心得として、帰る際部屋を出る時も重要だと教わるだろう。

 それは30才過ぎても同じ。

 見えなくなるまで紳士でなきゃいけない。イチバン良いのは見えなくなってからも紳士であることだが(笑)。

 バーキンなんてなくて当然なんだから「ありますか」までよりも「ない」と言われてからが重要。

 そこで機嫌悪くなって態度が豹変しようものなら、性格悪い店員は「オマエまさかフツーに出てくると思ったの?」と思うだろう(笑)。

 そんなこと大人になったらわかっていて当然ということがワカッテナイと仕事できないだろうなと思う。私は。

 お洒落してテンション上げて、そのバッグをプレゼントして女性が喜んでくれる姿(或いは自分で使う時の気分)をイメージして、長い付き合い(?)になるかもしれないスタッフとのコミュニケーションを楽しんでもらいたい。

 FXや株など相場取引を始めると、ポジションと反対方向に値が動き出した途端機嫌が悪くなる人がいる。そしてネガティブ発言が増え、相場その物にケチを付け始める(笑)。

 私からすると「もしかして自分の思った方向に値が動くと思ったのアンタ」と思う。

 そんなに世界が単純ならこんなに世の中差は付かない。

 ソレと似た感覚がある。男性エルパト組を見ていると。