性染色体による性別決定について再学習。

 前稿を踏まえて認知を更新しようと思い、改めて性染色体による性別決定について読んでみた。

 1対は男女の性別の情報を持つ性染色体です。男性の性染色体はXY、女性の性染色体はXXです。by 看護roo!

とある。これまでの認識通り。

正常な雌個体には存在しない性染色体をY染色体という。by Wikipedia

とWikipediaでは「正常な」がついている。

 更に読み進めると、

クラインフェルター症候群という染色体異常症候群があり、この患者の性染色体は一本多いXXYである(染色体総数は47本)。クラインフェルター症候群患者の身体的な特徴は男性である。一方、ターナー症候群という染色体異常症候群があり、この患者の性染色体はXが1本しか持っていない(染色体総数は45本)。ターナー症候群患者は身体的には女性を示す。つまり、Xが2本あってもYがあれば男性であり、Xが1本しかなくてもYを持たなければ女性であることがわかる。すなわちヒトは基本的に女性であり、Yは男性化をする染色体と言える。by 東邦大学

とあり、染色体異常症候群であっても、Y染色体を持てば男性であるとしている。

 イマネ・ヘリフ選手は「性分化疾患により男性の特徴であるXY染色体を持つ女性」とされていて、国際ボクシング協会(IBA)は「XY性染色体を持つ選手の女子競技出場を禁じるIBAの規定違反で失格」とした。すなわち「男性」という判定。

 一方、国際オリンピック委員会(IOC)は、12才時点での性器の有無とパスポートに基づくと定めているらしく、そこで出場要件を満たすと判断されたのだとすれば身体の形状は女性なのだろう。

 しかし「男性ホルモンの一種であるテストステロン値を測る検査により、失格となった by 時事通信という経緯もある。

 これまでの科学的な判定では男性とされるY染色体を持ちながら、身体の構造は女性だが、男性ホルモンのテストステロン値が高い、パスポート上の女性。

 「多様性」の理解を超えて、先進的な生物学的知識を要する。

 パスポートとは人間が決めた規定上のものなので、それはおいといたとしても、結局のところ、私はヘリフ選手を男性と呼ぶのか女性と呼ぶのかわからなかった。

 病気(疾患)によるものであれば「パラリンピックに出るべきでは?」というコメントも見かけた。

 統計学上の異常値として見れば一般的には無視されて終わりだが、オリンピック出場となると他の選手の権利問題に発展する。

 ヒトは基本的に無関心だが、自分の権利を侵害する可能性がある(=競合する)となると拒絶・排除しようとする生き物。

 シーンを変えて、例えば何か事件が起きて、証拠からDNAを採取し科学捜査の結果Y染色体が見つかり「犯人は男性である」とした場合、警察は女性を捜査の対象から外す。

 そこで、状況証拠と一致する見た目は男性っぽいがパスポート(日本では戸籍とか)上では女性という容疑者候補を見つけた場合、任意のDNAの提出を求め拒否された場合どうなるのか。

 いわゆる「人権侵害」という憲法レベルの話になってくると警察も手が出しにくい。この場合、パスポート上の女性であることが優先されるのか。

 もちろんDNAが100%一致すれば本人(または一卵性双生児)だと確定するんだが、科学捜査上の男性を探す上で、裁判所はパスポート上の女性に捜査令状を出せるのかという問題がある。

 という具合に、オリンピックという大舞台に立つ人が出てくると、例え極めてマイノリティな存在であったとしても一般社会における法整備も必要とされる。

 節目かつ転換点だなと思う。

 私には個人的な結論(落としどころ)さえ見い出せなかった。引き続き学習する次第。