「モザイク画像の解像度を64倍にする研究」が人種差別の議論に発展、非難を集めた研究者はアカウントを停止

 この手の話題が増えてきた。

主に白人の写真を含むFlickrFaceHQで事前に訓練されているので、変換結果は誰もが白人のように見えます。

 以前、黒人とゴリラの区別が付かないAIの時にも書いたが、白人開発者が開発・検証時に白人の写真を用いるのは当たり前で、自分や家族・親族の写真を集めると必然的にそうなる。

 ヤン・ルカン氏はフランス系アメリカ人。

 日本人開発者ならほぼ確実に黒い髪・黒い瞳・黄色人種だけでテストしているだろう。

 だから差別かというとそれ自体は全く差別ではないんだが、白人が開発したシステムが世の中の基盤となっているため、そこに黒人や黄色人種などが乗っかることで「何か白人中心に作られてない?」と違和感を感じて差別だという展開になる。

 「広く公開されるソフトウェアは全ての人種を対象にすべきだ」という主張はもっともっぽいが、例えば日本人プログラマーが白人や黒人を日本人と同じ優先度でアプリを作るかというと、観光業界を除けばほとんどの場合そうではない。

 国民のほとんどが日本民族だから「必要ない」と考える人が多いから。差別しようという気はなくて優先順位の問題。

 ではアメリカのように沢山の人種が混在している国なら、「人種比率に応じてリソースを割く」ではダメなのか。「納税比率に合わせよう」じゃだめなのか。本来ソレが平等なんだが。資本主義経済を採用している国ではなおさら。

 と問うていくと、貧困層が多い黒人や単純労働業界を支えるヒスパニックの立場は弱く優先されるはずがないからますます「白人圧力」を感じやすくなり、「完全な均等」を求められることになる。

 ※現在の“立場”は、これまで同じ水準の教育も受けられず職も与えられなかったことに起因し、白人が責任を取るべきだという心理も働いていると思われる。

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「完全な均等」には問題がある。蓄積されたものに価値が付かないと、誰も積み重ねを重視しなくなるから。例えば常連客が通りすがりの旅行客と同じ扱いとか。熟練も新入りも同じ扱いとか。1%の株主と10%の株主の発言権が同じとか。だから何もかも毎回リセットすれば平等になるわけではない。

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 そこでイチバンの問題は、白人開発者に「黒人とかヒスパニックとかアジア人とかにも平等に対応してね」と頼まなきゃいけない勢力図下にあるということ。

 結局、土台を作っているのが大凡白人だから。

 すなわち事実上の社会の中心。例えるなら白人が政治家で、それ以外は普通の国民みたいな状態。

 優秀な開発者も全人種揃っていればいいんだが、ノーベル賞受賞比率を見ても白人優勢なのは事実だ。

 白人が作った文化の上に白人が築いた経済があり、白人が作った金融システム、コンピューター、インターネット社会で我々は生きている。アップルもアマゾンもグーグルもフェイスブックもマイクロソフトもゴールドマンサックスも全部白人企業。

 ※元々インターネットは英語の文字列だけ表現できれば良かったので、メールは7bit仕様だった。これも全く差別意識はなく白人が「自分達用」に作っただけ(多分)。

 「いやそんなのおかしいだろう」「誰が作ったかなんて関係ない」と主張する人達が増えているので、意識高い系の欧米企業の広告は白人がなかなか出てこないという逆転現象が起きている。

黒人、アジア人ばかりのカタログが増えた。という話。

 更にはようやく白人を見かけたかと思ったら、ちょっと太ってなきゃいけない時代になった。特に女性は。痩せてると性差別的と批判される時代。

 じゃぁ、本当に痩せている女性はどうなるんだと問うてみたいが(笑)。天然の金髪で碧い眼の痩せている女性は存在自体が攻撃されやすい。それは差別ではないのか。

 と問うと「そんな人少数だし。昔の映画の世界。カタログに使っても意味がない」と真顔(真鯛じゃなくて)で主張する人もいる(特に肥満が多いアメリカにおいて)。ということは少数派の優先度を下げていいことになり、白人社会のソレは何も間違っていないんじゃないか。

 という矛盾が生じている。

 アメリカの場合ドラマのキャスト構成が人口比に沿ってないとクレームが入るようで、これを真に受けると世界の人口の17%は中国人、同じく17%はインド人なんだから、登場人物は6人中2人は中国人とインド人じゃなきゃいけないことになる。

 が、アメリカも南部や中部は白人しかいない街も多いだろう。するとそれらの地域の人達がテレビを見て違和感を感じ、「元々はオレ達が住んでいたんだ、外国人出ていけ!」みたいな争いになる。

 アメリカの人気ドラマやシーズンの更新状況を見ると、何だかんだで白人俳優が主役のものが視聴率が高い。儲からないとドラマも製作できないので、経済規模と切り離して考えることは難しい。

 「全部均等にすればいいじゃない」と簡単に言う人もいる。しかし世間を見渡す限り、大半の人がパートナーや配偶者には同じ国または同じ民族の人を選んでいることから、決して本気で多様性を支持しているわけではなく、「私に影響がない範囲で好きにして」が実際のところ。

 という難しい時代なので、人口比通り作っておけば上手くいくわけでもなく、開発者が全人種均等に揃っているわけでもなく、結局は白人が白人以外のために頑張って対応しなきゃいけない状況にある時点で白人優位であることが確定するという社会に生きている。