「ボッテガ・ヴェネタのSNS閉鎖、高級ブランドのトレンドを予兆か | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)」

 あらゆるメッセージが投稿されるSNSは、“ラグジュアリーな”ものではない。ソーシャルメディアは(高級ブランドが狙う一部の)「クラス(階級)」向けではなく、「マス(大衆)」向けのものだ。

 今更言うまでもない。

 ハイブランドを購入できる層はSNSや口コミの影響を受けないし流行を追う必要がない。

 他人や流行の影響を受ける層とは、自分のセンスに自信がなく、真似る(または追う)ことで自分のファッションや方向性は間違っていないという安心感を得る(フォロワー層)。しかしソレらの(自己肯定感の低い)層は大方若年層であり、ハイブランドを購入する所得がない。

 だからSNSで話題になっている、露出が増えている割には売上が伸びないというギャップが生じる。

 またボッテガを含めほとんどのブランドはヴィトングループ、グッチグループなどの巨大資本傘下にあり、購入をどれか1つに絞る必要のある層を穫りにいっても、ほとんどの場合はグループ内の他のブランドからの一時的な流入であり、グループ全体で見れば絶対数(出荷個体数)が増えていかない。

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 アマゾンで言えば、同一商品の出品者がどれだけ増えようとも、出品者同士が1つのカートを穫り合っているだけで、メーカーから見れば当該商品の出荷数は変わらないのと似ている。よって昔と違い取り扱い店舗数の増加がイコール出荷数(売上げ増)に直結しない。
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 下手に「お金はないけど見栄っ張り」という層の欲求を刺激してしまうと、レンタル市場が活気づいてしまい、むしろ新品商品の販売数は減る可能性さえある。

 要は写真撮ってアップしたらもう要らない(同じ格好では載せられない)というインスタグラマーは、買って中古で売った際の差額(損)を考えるとレンタルで十分という結論になり、「露出は増えたが商品は売れてない」状態になる。

 そういった見栄っ張り市場向けのビジネスほど急成長しやすいため、SNSに飛び乗ったハイブランドは自分で自分の首を締める(レンタル)市場を生み出した(活性化させた)という残念な構造にある。