「タンス預金が100兆円を突破! 「現金好き」はどんどん損する時代に | 加谷珪一 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト」

 昔からタンス預金をどうやって表に引っ張り出すかが議論されているが、貨幣の完全デジタル化でいずれは解決するだろう。

 今になって貨幣の占有=所有権を覆し、(例えば)「貨幣は国のものだから還しなさい」とはいかないだろうから、何年かの猶予をもって(偽札防止とか適当な理由で)「xxxx年xx月xx日に現在流通している貨幣の有効期限を迎えます(無効化します)。それまでに(政府が指定する)電子マネーに交換または銀行口座に預け入れてください」(銀行口座内の残高は自動で新貨幣[デジタルデータ]に移行する)とすると、人々は紙幣がただの紙切れになる前に皆将来有効な電子マネーに交換するか口座に預け入れるから、タンス預金を含めあらゆる日本の現金(及びその所有者)をデータ化することができる。

 要はコレまで物理的にモノとして存在してきた貨幣の完全デジタル化。お金はただの数値及び所有者データとなり、データベース上の書き換えのみで完結する。

 ※世界中がそうなれば、貨幣現物を用意しなくて良くなる分、旅行などの際に外国通貨に交換する時の外為手数料も限りなくゼロに近づくだろう。ビットコインのように。

 期限後は交換手数料(税金)として相続税の税率以上を課すとすれば更に効果的。相続する際、期限切れ後にタンス預金を手渡しでもらってもその貨幣は既に市場で使えず、交換手数料が相続税より高ければ、生前に電子マネー化を望む相続人が増えるから。すなわち「こっそり現金を相続」ができなくなる。

 ドルやユーロなどの外貨に交換しても、日本の貨幣は全て銀行を通じて回収される(されている)ので気にする対象じゃない。既に外貨として持っている財産を期限後に日本円に交換したい場合は自動的に新電子マネーに変換されるからこれも問題ない。他の電子マネーや仮想通貨に交換した場合も同じ。交換時に現在の貨幣が金融機関によって回収されるから問題なし。

 そして期限後の猶予(有料で交換できる)期間を過ぎたら完全に旧貨幣は無効化され、それまでに新貨幣[デジタルデータ]へ移行されなかった分は税収として計上する。

 そうすれば、現金を家に隠し持ったまま誰にも気付かれずに所有者が死亡している場合や、時効が来たら掘り返そうと山奥に埋められている現金とか、火事で燃えた紙幣、下品な成金が鼻をかんで捨てた紙幣なども含め、本来は回収が難しい現金が税収となり得る(*1)。

 *1) 紙幣の累積発行枚数−デジタルデータ化完了額=行方不明のお金

 実現は10年後くらいだろうか。

 同様に、現金手渡しで取引の事実が確認しづらかった分野への課税も可能になる。売春や援助交際とか。お金のやりとりは可視化できても取引の目的がはっきりしないものは全て寄付として贈与税(所得税の税率より高い)を課す。

的な。

 私は昔からクレジットカード或いはインターネットバンキングでの支払いで現金は動かさないので何の変化もない。節税もしないので入出金が全てデータ化されてもまるで影響がない。一方、個人商店のように現金収入をごまかしやすかった商売人や、現金取引で上手いこと支払いを水増し(経費計上)して節税していたような古典的な層にとっては魅力のない時代だろう。