「ANAがJALを「貨物特需」で圧倒できた2つの勝因 | エアライン・航空機 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準」

2021年3月期の第3四半期(4〜12月期)決算は、
増収を死守する主要事業が貨物だ。貨物事業の同期間の売上高は、ANAが1207億円(前年比16%増)、JALは909億円(同31%増)。



ANAはJAL以上に貨物特需の恩恵を享受している。第2四半期(2020年4~9月)までのANAとJALの貨物収入はほぼ横並び。しかし第3四半期(同10〜12月)の売上高では、JALが374億円に対し、ANAは592億円と大きく引き離した。


JALは2010年の経営破綻を機に貨物専用機の運航から撤退し、旅客機の貨物室を活用した輸送に特化してきた。昨年10~12月には乗客なしの旅客機を「国際貨物専用便」として毎月1000便以上運航したものの、逼迫する需給環境に対応しきれず、需要の取りこぼしも多かった。

 これを読む限り貨物輸送において「ANAがJALを圧倒」したのではなく、「JALがANAを輸送効率で上回る」ように感じるんだが。

 第二四半期の貨物輸送について検索してみたところ、

 両社の2021年3月期第2四半期決算によると、大規模な旅客便の運休・減便の影響で、貨物の輸送重量は両社とも前年同期を大幅に下回ったものの、単価の上昇によりANAHDは前年並みの売上水準を、JALは前年比2割弱の増収を確保した。---カーゴニュース

とあった。

 ということから、昨年の04月以降の貨物輸送による収入(重量ではなく)は、ANAは前年比横ばい→16%増という推移、JALは前年比2割弱の増収→31%増という推移。

 JALは2010年の経営破綻を機に貨物専用機から撤退し旅客機の貨物室による輸送に特化。キャパシティが小さく、需要の取りこぼしが起きた。という見方とは正反対に、単価の高騰に乗って(貨物専用機がない割には)効率良く貨物輸送の売上を伸ばしているという方が正しいんじゃないか。

 むしろ単価高騰の中、前年同期比で横ばいとなったANAの第二四半期の方が取りこぼした(その分がJALに流れた)可能性大であり、それを第三四半期で挽回した(しつつある)という段階に見えるが。

 元々のキャパシティが異なるもの同士を売上規模で比較してもしょうがなく、こういう時期は生産性(効率)で見た方が良いので、ANA、JALがそれぞれ持っていた輸送スペースに対する積載率で比較した方が妥当だろう。「貨物の単価が2倍に高騰」した割にはANAの売上伸び率が低いことから、空きスペースが生じた(一便あたりの輸送効率が低かった)ということが見てとれる。

 これまでの習慣(?)からするとJALが経営破綻しANAに統合されるという流れが一般的な見方だったが、パンデミック以降はどちらかというとJALの方が手堅い印象がある。