会社ってみんなのものじゃないですか(?)。

 美容室(笑)で聞こえてきた。

 隣の隣の客曰く「だって会社ってみんなのものじゃないですか」

 え?

 小中学校のクラブじゃないんだから(笑)。

 10年前まではそんなトンデモ系も昭和世代に一定数いたが、もう若い世代には資本主義経済とは何かが浸透した頃かと思っていた。

 30才くらいの女性。

 会社はみんなのものではなく、権利者のもの。すなわち株主のもの。

 家や土地の持ち主=権利者=不動産登記している人と同じ。「住んでいる人達のもの」ではないので、賃貸で借りている人が「(自分を含め)みんなのものだ」とは主張できない。「居住権」で家屋や土地の所有(私物化)はできない。

 著作権も同じ。権利者のものであり「有名だからみんなのもの」ではなく、「私にはこの曲がなくてはならないの」と言っても著作権は著作者にある。JASRACにケチつけている人達の大半が、音楽は公共物だと勘違いしているのかなと思うことが多い。

 会社は「社長のもの」も間違い。社長が100%株主なら社長のものだが、雇われ社長は1株も持っていないこともあり、その場合は事業の責任者であっても全く持ち主(オーナー)ではない。

 この「会社はみんなのもの」という考え方を家に当てはめると、お金持ち宅がお掃除係や料理人、ベビーシッターを雇っている場合、その雇われている人達が皆集まって「この家はみんなのものだ」と言い出すのと同じ。

 勝手にカーテンを換えたり、フローリングを張り替えたりはできない。模様替えさえできない。

 会社との雇用関係とは、労働とその対価(給与)が引き換えられた時点で、お互いに貸し借りはない。例えば残業代の未払いがあったとしても、残業代の請求権とそれを受け取る権利があるだけで、その「貸し」をもってして会社の持ち主には成り得ない。

 日本はもともとお金に絡むことや契約、権利といったものをうやむや・曖昧にしがちな文化だが、資本主義経済とは何かをもうちょっと理解していないと、自分の立場や立ち位置を見誤ってしまうので社会における存在自体が不安定になる。

 小中学校の社会の指導要領を見直した方がイイんじゃないか。

と思うことが多い。