円相場。

 まさかの日中協調介入もあり得る。

 気がしている。

 日銀のレートチェックから介入警戒感があり心なしか円高に振れているが、「一方的かつ急激な動きに対して、あらゆる対策を講じる」といういわゆる口先介入は非常にしばしば見られる。

 が、今回は実際に行動に移し、日中協調または同時米ドル売り介入もあり得るのかなというニオイを感じている。

 当然、アメリカ(米ドル)に対する敵対的介入ではなく、同意を得た上での介入。

 中銀が為替介入を行うと「為替操作国」に指定されてしまうが(日本も既に指定されている)、そもそも現在の為替相場は当該国のファンダメンタルズがそのまま反映されているわけではなく(*1)、投機筋とそれに乗っかってくる投資家などによってブーストされた大袈裟な値であるという点で、“一方的な”、“急激な”、“行き過ぎた”値動きを沈静化させるための介入は、むしろ正当な対応であると私は受け止めている。

 要はパニックや過熱を抑える措置は「為替の操作」とは違うという考え方。

 この線引きはそこはかとなくファジーだが、それをしなければ約5年前のビットコインのような相場になってしまうため、通貨を安定させるための最低限の軌道修正は「秩序」維持のための行動と呼んでいいんじゃないか。という見解。

 (*1)何がファンダメンタルズなのかと問うと実は難しい。例えば、お金が有り余っている巨大資本の機関投資家がマネーゲームとして特定の通貨を売り買いし相場を動かした場合、その“遊ぶお金”がある組織や個人を内包していることも含めて国力だと言えばそれもまたファンダメンタルズの一部として捉えることができる。ならば言うまでもなくアメリカ最強だが、そうなると必然的にアメリカの自由自在な世界ということになってしまい、他の通貨の存在価値(存続の意義)が問われることになる。

 更に、ロシアとウクライナの戦争によって、アメリカが支援すればどんな弱小国でも軍事大国ロシアに勝てるという希望を世界中に持たせた今、米ドル最強の流れになるのは当然。一方で脆弱な体質が露呈した欧州を見て、今から積み立てをユーロに切り替える人はいないだろう。

 そこで「アメリカ大フィーバー」が巻き起こり、トレンド的な(米ドルの)“爆上げ”が生じてしまうと、ドル建て決済がほとんどな市場において、アメリカ以外の全ての国が困ることになる。

 その「アメリカ(米ドル)大人気」もまた「“強い米ドル”は国益だ」と宣言しているアメリカのファンダメンタルズを支える構成要素だと言えば確かにそう。

 しかしそれを全部受け入れていてはアメリカ一強どころか、世界は全部アメリカでイイんじゃないかということになるので、誰かが動く必要がある。

 ということからまさかの日中協調介入もありそう。という予感。