ジェーン・バーキンとバーキン。

 バーキンについて調べていると、バーキンという名前の由来となったジェーン・バーキンの話が出てくる。

 飛行機で隣に座ったエルメスCEOとの話

 で、もともと子育て中の主婦(ジェーン・バーキン)用に開発されたバッグだから、硬いと使いづらく踏みつけてフニャフニャにしてから使うとか。

 一方日本人は、ツイリー巻いて手袋して使うくらい慎重に扱い、そんなのはバーキンの本来の持ち方ではナイという指摘がある。

 売るときのことを考えて綺麗に使っているなら、そもそも分不相応かなと思うが、バッグのシルエットはファッションなのでどちらでも良い。所有者が好きな方。私は小さく(25cm)シャキっとしている方が好き

 こういうストーリーを適用する上で考慮しなきゃいけない点として、バーキンが登場してから値段が3倍になっているということ。

 日本人サラリーマンの所得はかれこれ30年変わってないとされていて、当時50万円だったバッグと今170万円のバッグ(40cm)とでは求められるものが違う。余所のブランドバッグとの相対的なものもそうだし、所得に対する相場としてもそう。

 特に、欧州と違って所得が上がってない日本人は置き去り状態にある。

 そしてそもそも論として、普通の主婦が130万円超のバッグを普段用に持てるはずがない(持つ必要がない)というところに落ち着く。生活を犠牲にして手に入れた時点で「とっておき」でしかなく、普段用には成り得ない。

 もっと言うならば、初めからジェーン・バーキンという富裕層主婦のストーリーなので、同じような所得層(及び職業の人)が共感することはあっても、庶民が気にするような話じゃない。

 庶民的な主婦は飛行機でエルメスCEOと隣り合わせにならないし、エコノミークラスに要求される仕様じゃないということが先に決まっている。

 で、今となっては外縫いのシャキっとバーキンもあるのだから、エルメスとしても既に位置付けは主婦用普段使い専用バッグじゃない。値段的に当然。クロコやヒマラヤが出てきた時点でフニャフニャシルエットは想定されていないし、40cmから25cmへとサイズダウンしていく中でもはや実用性重視の主婦用バッグじゃなくなっている。

 時は流れ時代は変わるので、いつまでも昔話が適用されるわけじゃない。

 というわけで、ジェーン・バーキンのストーリーは「へぇー」で十分(笑)。

 そのジェーン・バーキンはクロコのバーキンに私の名前を使わないでと言っているようで(既にバーキン誕生当初の関係性とは異なっているということ)、どういう展開になるか興味深い。