まさかエルメスで領収書を。

 何となく居そうなので敢えて触れてみるが、エルメスでお金を使ってもなかなかバッグが出てこない人、まさか領収書をもらってないか。

 私の見解では、転売(経費=「仕入れ」)を怪しまれるんじゃないかと思う。

 特に洋服やバッグ類。

 通常「ノートパソコン用バッグ」とか、はっきりと業務用と認識でき、かつ合理性が認められる金額の物以外は経費にならない(できない)とかれこれ20年以上税理士は言い続けているので、私は昔から自分の持ち物は何も経費にしていない。

 が、この数年シャネル、ヴィトン、フェンディ、ディオールなど他のブランドでもイチイチ「領収書は?」と聞いてくるので、経費にしている人が多いんだろうことがうかがえる。

 ※金額が大きい場合は一括ではなく減価償却だが。

 ヴィトングループは売り先(客)を選ばないノリだが、エルメスは転売対策に躍起なので印象が悪いんじゃないか。領収書の発行自体は拒否しないと思うが、いわゆる“購入実績”にカウントしないとか。事業用として。

 では、税務面から見たらどうだろうか。

 もちろんバッグだろうと靴だろうと経費として申告することはできる。

 税務署は申告受理時にその場で明細・詳細やその妥当性を確認するわけではないので、書類に不備がなければ申告通り決算や確定申告は完了する。

 しかし、申告書に受領印をもらうことと、その内容が公に認められることとはまた別。

 問題は一般的に3年後以降。

 税務調査というのは通常開業から3年経過時、または大きく利益が出た時、或いは売上の伸びに対し利益が少ない(赤字を含む)時、もしくは取引先の反面調査(請求・領収の事実確認等)などで来るもので、税務調査で過去に経費申告したものが否認されると、本来納税すべきその日からの経過年数分の追徴課税がなされる(延滞税がかかる)。年14.6%。悪質だと重加算税。

 だから経費申告とは、申告が受理されたかどうかは重要ではなく、その後(時効まで)税務調査で否認されないかをずっと気にしておく必要がある。

 というわけで、微妙なことはしない方が良い。税金の滞納は、給料でも財産でも差押え権があるので、民間の未払い金と違って頑張れば踏み倒せるものじゃない。

 私は節税はしない派。ましてやブランド品を経費扱いにするなど考えもしないし、そもそもそういう仕事じゃないから。

 洋服やバッグなどが経費に認められるのは芸能人(の衣装)と転売業者(の仕入れ)くらいだろうと私は思う。

 ただのユーチューバーやインスタグラマーは無理なんじゃないか。個人的な見解だが。

 最近は電子申告で自分で確定申告する個人事業者が多いので、税理士フィルターを通してない申告が多いと思われる。すなわち素人判断。

 よって3年経過後あたりに突然消えていなくなる人が多いと推察される。

 で、確実に経費として認められるのは「仕入れ」の場合。結局のところ転売業者に限られる。「買って売る」の「買って」が彼らにとっての仕入れ(原価)だから。

 中には「贈り物」(接待交際費)にする人もいるかもしれない。本当にプレゼントしていて、正当な贈り先が存在していれば接待交際費の範囲内で経費化できる可能性はあるが、取引先としての規模感などから妥当性が問われるので、税務調査で否認される場合もある。

 もしくは寄付金控除(笑)とかもあり得る。誰かに現金や金券を寄付し、寄付金控除を受けつつ戻してもらった現金・金券でブランド品を買うとか。

 節税のためなら大抵皆何でもやる。賢いつもりの人ほど。

 私はすすめない。