咳き込みながらも交代しない女性店員。

 あるデパートのカウンターでの話。

 私は座っていて、接客する店員(20代中盤の女性)はカウンター(40cmくらい)越しに立って身を乗り出している状態で(すなわち狭いカフェよりも近い距離)、マスクは当然しているんだが、その見下ろす角度で結構な勢いで咳き込んでいた。

 ちゃんとアクリル板があるんだが、わざわざそれを避けるかのように斜め横に来て顔を近づけて(笑)。

 途中で「代わろうか」と声をかけた年上女性スタッフに「大丈夫です」と応え代わらなかった。

 そして引き続き咳き込んで、また別の年上女性スタッフが「代わろうか」と声をかけたが、それでも「大丈夫です」と応え代わらなかった。

 我々客が大丈夫じゃないんだが(笑)。

 で再び咳き込み、隣の女性客がちょっと嫌そうな顔をしたところ、店長っぽい女性スタッフが来て担当を入れ替えた。

 他人に迷惑をかけてでも最後までやり遂げたいという責任感(自己満足)なのか、どうしても私を担当したかったのか(笑)ワカラナイが、現在の状況下も踏まえて大人になってソコの空気が読めない人は、この先の社会人生活が大変だろうなと思う。

 日本人特有の曖昧な「代わろうか」の文脈を理解できないというコミュニケーション能力の低さもあるかもしれない。

 この「代わろうか」は「客に迷惑かけるから代わった方が良い(代わるべきだ)」(先輩スタッフが言う場合はほぼ命令)の意味であり、接客業としての責任・責務の話であって善意とかそういうレベルのものじゃない。

 が、今は命令口調で交代させようものならパワハラだ何だと言われるのを怖がり、先輩という存在が機能していない。

 入れ替わった新しい女性スタッフはすぐに「申し訳ございませんでした。代わらせていただきます」と言ったので「彼女は“代わろうか”の意味が通じなかったんですかね」と返したところ「私達としてはすぐに通じて欲しいんですが」と困った顔をしていた。

 確かに時代はパワハラと言われるのを恐れ注意しなくなっている。

 問題は、それによって客側が我慢しなきゃいけないことが増えてきている点。

 言うまでもなく、しわ寄せの場所がおかしい。

 客が嫌がり売上が下がったら会社の危機なので、全従業員にも迷惑をかけ、いずれは「本当にこのままでいいのか」という話になる。

 そして最終的には、犬のしつけのように命令・指示でスタッフを動かすようになり、昔に逆戻りする。

 ワカラナイんだったら教えるしかない的な。

 昔の単純労働者はちゃんとした教育を受けられず、下手するとろくに字も読めなかったりしたので、上司はわかりやすい言葉で命令するしかなかったという事情もあったんだが、今は学校は出ていても家庭教育レベルが下がっているので、社会人になる前に身につけておくべきことを身につけずに現場に出る人が多いもんだか(教養レベルの問題)、いずれは昔と似たような状況に可能性がある(高い)。

 時代は繰り返される。

 ただし昔と異なる点は、お金のある大手は機械化を進めるだろうというところ。

 私が見ている限り、自動販売機で十分な作業だった。

 現場で人を育てることに労力を費やすよりも、

 機械は咳をしない。

という結論に至るのもそう遠くない将来っぽい気がする。