「お金を使わされてる」→150万円のバッグが似合うようになるまでのコスト。

 03月に「エルメス転売(専門)店で時短の考察」で書いたことを、ちょっとアングルを変えて。

 エルメスでなかなか枠ありバッグが出ないと「買わされてる」と感じる人達が一定数いるよう。

 消費者には「買わない」という選択・決定権が与えられているので、ただの被害妄想でしかないんだが、バーキンやケリーといった本命のために大して欲しくもない物を買ってるという場合、「これをいつまで続けるのか」という不安と不満が蓄積していき、その感情が外に漏れ出すのはわからなくもない。

 ちょっと情報収集すれば、いわゆる「1:1説」とは別に、最初のバーキンまでの購入額は現時点で500-700万円くらいという相場はすぐわかる。

 しかし相場よりも早い人、相場通りの人、相場よりもお金がかかる人といる。

 だとすれば、世間で言ういわゆる“実績”とは購入額さえ積み上げたら良いわけではないことがわかる。

 言い換えると、販売員1人あたり何十人、何百人という顧客を抱えている中、「じゃぁ次はこの人」と選ばれるには、使ったお金だけではない何かが決め手となっているということ。

 150万円もするバッグが本当に必要なのか。

と問うた時、ではその150万円のバッグを持ってどこに行くのか、出番はあるのかが必然的なテーマだと言える。

 元々お金持ちで高所得が何年も続いている人なら、住まい(必然的に登録住所)もファッションももう出来上がっているだろうし、その高価なバッグを持っていく場所も用途も連れも決まっている。だからすぐにお目当てのバッグが出る。販売員から見て使っているシーンがイメージしやすいから。

 一方でSNSで自慢した後出番がなく、次第に熱が冷めて売りに出すという人も多いだろう。ソレはエルメスの本来の想定客じゃないし、そんな人を山のように見てきただろう販売員は端っから出す気にならないはず。ただでさえ弾切れなんだから。

 “愛”を語る人ほど冷めやすい(笑)。それどころかアンチに転じやすい。

 本来、普通に買い物していれば自然に(枠バッグは)出るもんなんだが、エルパト業界は、準備ができてない人達が参戦するから必要以上に大変なことになっている。と感じている。

 素人がいきなりリングに上がって「ベルトが欲しい」と言っているようなもの。

 そういう人達が突如150万円以上する高級バッグを持った時に、何かちぐはぐに見えるようではエルメスのバッグの価値及びブランドイメージを下げるので、バランスが取れる(似合うようになる)までバッグを出さないのだとすればオモシロイ式が成り立つ。

 ※ブランドイメージとは「買えるんだからイイじゃない」ではダメで、レディディオールのように“パパ活バッグ”と呼ばれるのは困るとかそういう印象のこと。

 で、余所のブランドで買い物している様子もない客には、「だったらエルメスがコーディネートしてあげるワ」ということで、洋服一式をすすめる。靴もベルトも、必要ならアクセサリーも時計も。

 そしてバーキンやケリーが似合う風貌になるまで必要なものを提案し続け、150万円のバッグと全体的なファッションが釣り合いがとれるようになったバッグを出す。

 それが現在ファーストバーキンまでの購入額の相場と言われている500-700万円なんじゃないか。

 見方を変えると、そのくらいお金と時間をかけないと準備が整わない層が大量に参戦しているということだろう。だからますますバッグが不足する。

 で、庶民系エルパト組はその準備(下積み?)期間中に「買わされてる」と感じるという流れじゃないか。

 冒頭で「素人がいきなりリングに上がって「ベルトが欲しい」と言っているようなもの」と表現したが、プロの選手でさえ、公式試合で勝利を重ねて“ランク”を上げていって(まさに“実績”)、やっとチャンピオン戦への挑戦権を得るという“順序”があり、バーキンやケリーはハイブランド界におけるヘビー級チャンピオンベルトのようなものなんだから、当然に準備に時間がかかる。

 しかしエルパト業界は超富裕層もサラリーマンも同じ土俵で枠ありバッグを取り合っていて、まるで体重も戦績も関係なく殴り合うストリートファイトの様相。カオス状態。

 世界中の人々が欲しがる最高峰のバッグが似合うようになるまでには相当お金がかかる。春夏秋冬揃えようとすると特に。それがバーキン(またはケリー)が似合うようになるまでのコストという考え方。

 ということから、お金持ちは今後沢山お金を使ってくれそうだからすぐに枠ありバッグが出るんじゃなく、受け入れ準備ができているから早いと考える方が妥当なんじゃないか。

 初期に『エルパトはエルメスで買ったものを身につけて行くべきか』において、

 いつ見かけても、新しく増えた持ち物はエルメス製品だけという客を見た場合、私が店員なら他では買い物してないのか→バーキン欲しさに買い物を全部エルメスに寄せてるのか→カツカツなのか(ということは買って売ってを繰り返してる?)と思う。
 「たまたま近くに用があったので寄りました」という時に、ヴィトンやフェンディ、ディオールなど他のハイブランドの新作を身につけていれば、余所でも同じようにお金を使っているんだなという経済的余裕が伝わる。

と書いた。

 我ながらまさしくそういうことかと思う。

 エルメスはハイブランド最高峰に君臨すべきもの(すなわち最後に持つもの)であって、ハイブランド入門者が最初に持つバッグじゃないという自負もあるだろう。

 そこをエルメスは客に言えないし、ましてや分相応・不相応なんてことも客に向かって言えない。だから「1つ1つ揃えていきましょうね」というノリじゃんじゃないか。

 そしてある日「おっ、イイ感じ」と思ったその時、販売員にとって「次はこの客」とフラッグが立つ。

 要はパッと見、ピンと来るか来ないか。

 根拠のある情報は何もないが、なぜにそんなに皆苦しんでいるのかと観察していて、そう感じる。

 というわけで、お金を使ってもなかなか枠ありバッグが出ない人は、競合他社のブランドでも良いので、思いっきりシャレこいて(笑)エルメスブティックに乗り込むことをすすめる。

 都内23区店舗で「おっ」と思われるには、高偏差値(学力じゃなくて)が求められることは言うまでもなく、スーパーフリーはともかく、顧客枠バッグを狙うならば「思いっきり華やかに」と、質問されたら答える。

 ※書き忘れていたが、この投稿は以前予告した地盤問題。地盤が出来ていないところに建てられないことから、準備に時間がかかるという意味。