チャーリー、エルメスのモカシン《パリ》を語るの巻。

 モカシン《パリ》。

 エルメスの定番シューズで、婦人物に加え野郎物(笑)もある。

 なんでわざわざ投稿しようかと思ったかと言うと、以前から気になっていたことで、メンズのモカシン《パリ》を載せてる人が全然居ないから。海外でもまるで見当たらない。在庫だけはなくなっていくので、みんな買って売ってるのか。ソレを買った人は履かないのか(笑)。

 SNS時代の世の中、自慢になるものしかアップしない傾向があり、載せるほどのもんじゃないという認識なのか(笑)。

 というわけで日陰のメンズ《パリ》にスポットを当ててみたい。

 MADE IN ITALYの図。

 フランスの高級ブランドも、靴だけはイタリア製ということがほとんど。

 靴底の図。

 ルブタンに倣って靴底を全面オレンジにしてくれるとイイんだが、つま先側の約半分は最初からゴム張りされていて色は黒。滑らないという点では非常に実用的。いっそゴムをオレンジにしてくれてもイイ。靴底にも何か署名的なデザインが欲しい。遠目の後ろ姿でも「あっ、エルメス」的な。

 主張しないことが美しい時代もあったが、今は主張し説明し字幕付きで喋らないと伝わらない時代(笑)。

 玄関にたたずむモカシン《パリ》の図。

 私の繊細でバレリーナのような足(笑)にはやや幅が広い。かかと側から中央部まで(すなわち後ろ半分)もう少し絞ってくれたらピッタリ。

 かかと内側はスウェード(裏皮)素材が折り返されているので、滑らないから足が反った際にも靴のかかと部分がしっかり足についてくる。例えばサンローランはシルク貼りでスポスポ(笑)なので、かかとに接する部分の素材は非常に重要。

 革はさすがエルメスという品質。軽くて柔らかく馴染みが良い。その代わり店頭でちょっと試着するだけでシワがより中古みたいになる(笑)。

 私の足との相性はルブタンのダンデライオンほどではないが、全体的にフィットしている。

 横から見たシルエットは婦人物の方がはるかに美しい。いつも私はオープンカーの横から見たシルエットと比較するんだが(ジャガーやアストンが好き)、モカシン《パリ》のメンズはちょっとばかり野暮ったく公務員シューズに見える(笑)。と、ある欧州の美しい女性に話したところ「公務員はエルメスの靴履かないでしょ?」と笑ったので「ジェームズ・ボンドも港署のタカとユージも公務員だけど」と返してみた(笑)。

 素材・質感を統一しようという気がないのかエルメスよの図。

 ベルトの黒マットバックルとモカシン《パリ》の黒いメタルは異なる質感。ベルト側の黒マットの方がモダンで好き。

 この辺からも、本気でお洒落しようという意識はない(低い)ブランドだということが伺える(笑)。

 いや、パリに行けば統一デザインのものが揃うのだとすれば、感覚の統合というか総合力に乏しい日本人の買い付けでは揃わないということになる。全体を指揮する人が必要。

 私の中でエルメスの位置づけは、お洒落なファッションブランドではなく、革職人による品質重視のブランド。その辺ちょっと日本人っぽいが。

 モカシン《パリ》の中を覗き込んだ図。

 奥に暗号文なんかが描かれていたらオモシロイ。暗号を解いた人だけがこの靴が造られた工程の映像が見られるとか。職人からのビデオレター付きで。

 お洒落な人がファッションを楽しむ。

 お金がある人は更に上質な品質を楽しめる。

 そして知能が高い人(これからの時代にイチバン必要な要素)は特別に用意された扉を開くことができる。

 エルメスにはそんなブランドになっていただきたい。

 で、いざそうなったらなかなか解けず、終いには癇癪を起こしてエルメスがキライになるというオチか(笑)。

 というわけで、靴底全面オレンジ、H金具はローズゴールドのサテン、後ろ半分をもう少し絞って、なおかつ高さを少しだけ削ったDB11ボランテの横側のようなモカシン《パリ》リボーンみたいなのを作っていただきたい。

 そういえばDB12ボランテが発表された。久しぶりに車に乗ろうかなと思わせる美しさ。