のんびり調整相場。

 アメリカは利下げしたが、同じタイミングで日銀の金融政策決定会合で追加利上げを先延ばしすることとなり、強い円買い(ドル売り)要因が失われたことから、次のイベントまではノンビリと調整相場かもしれない。

 次期総理かなと予想する高市女史は利上げに反対派(円安容認?)のようなので、とにもかくにも日本の新総理とアメリカ大統領選次第といった感じ。

 一方で「主要企業経営者の理想とする為替水準」は1ドル135円らしい。「適正な為替レート、「110-120円台」が半数」という調査結果もある。

 私には135円だとまだ安く見える。110-120円は当面の適正だと思うが、あまりあてにならないと言われている購買力平価が90円台であることを踏まえると、一旦は100円前後を目指すのかなと思う。

 現在の実質レートと購買力平価との乖離は日本の物価が割安にも拘わらず、輸出が増えていないことが原因とされているが、そもそも輸出が思うように伸びなかったのは、コロナ禍で航空便は減便で貨物スペースの取り合いから輸送費が高騰し、船便も世界的なコンテナ不足で港待機が増え(時間の分だけコスト増)、日本企業は思うように輸出できなかったことに起因すると考えている。むしろそれが円安を招いた感さえある。

 また各地で戦争が起き迂回コストや保険料の高騰で輸送費が高まっていることから、日本企業の輸出環境は不利な状況が続いているものの、少なくともコロナ禍の空海の乱れによる損失分は取り戻そうかという値動きに見える。

 その期間のアメリカの物価高騰と日本円安が連動しているから。

 要はアメリカの現在の物価から見れば、円安も相まって、アメリカ人にとって近所のスーパーに買い物にいくよりも、日本から通販で買った方が安いというほど価格差がある。

 それが昨年からのインバウンド(訪日)増にもつながっていて、2023年と2024年の08月単月で比べてもアメリカ人訪日数が35,638人増えており(25.8%増)輸出増も含めこの調子で円買いが生じれば、いずれ為替差は購買力平価に近づくように圧縮されると思われる。

 問題は今後も続くだろう資源高。日本は輸入が上回っているため、構造的に円売り(円安)に傾きやすく、円安になると輸出には有利でも輸入比率から輸入額の方が増し貿易赤字が膨らみやすく、更に円安要因となる。ひいてはドル建てGDPを必要以上に過小評価させてしまう。

 ということから、日銀利上げで120円を目指す想定だったが、高市女史の「今、利上げはあほ」発言が日銀に与えただろう影響力から空気を読むところ円安方向だと思うが、全体を鑑みると膠着(レンジ入り)気味の円じり高をイメージしている。