「【速報】貿易赤字が過去最大の2.8兆円 エネルギー高騰と円安の影響 8月の貿易収支 13か月連続の赤字 | TBS NEWS DIG」

エネルギー高騰と円安の影響

 時代が変わった。

 リーマンショック(2008年)頃までは「円安」=日本が儲かると信じていた人がほとんどだった。“モノづくりの日本”すなわち「Made in JAPAN」への需要に対し円安は有利だという理屈。

 以前も書いたが、その時既に転換期にあり、2年後には日本は製品の輸出に頼る国ではなくなった。

 もちろん「もう輸出は要らない」という話ではなく、今でも巨額の輸出が日本経済を動かしているし、輸出企業は“点”で見れば利益を上積みしていて円安の恩恵を受けている。今回は社会全体で見るバランス(割合)の話。

 円安によって(外国人から見て安く見えることで)もたらされる輸出業の活況から得られる額と、円安によって、日本が買わなきゃいけないもの、買うしかないもの(すなわち原油などの資源)が値上がりすることで受ける打撃(マイナス)の額を比較した(差分を見た)場合、円安によるマイナスが大きいと認識されるに至った。

 それは当然。石油やレアメタルなしでは作れないものが多い。7割をロシア・ウクライナ産に頼るネオンも同じく。輸出するために輸入する必要がある。

 そこでドル円レートは100-110円くらいが適正だとされている。※PPPの観点では91円とされている。

 実際のところ、そのくらいのレートでもMade in JAPANは売れる。量産品市場で勝負しなければ。それは品質に対するプレミアだと受け止め、本来は自信をもつべきところなんだが、日本人は自己肯定感が低すぎ、何でも安くないと売れないものだと思っている。そしてはるかにGDPの小さいアジア諸国と薄利多売の競争をしたがる。

 本当はMade in JAPANブランドとは、シャネルやエルメス、ロレックスのような方向を目指すべき立ち位置なんだが、メンタルが追いついていない。

 日本人が相場より安い価格設定をしたがる心理として、高いとそれなりのものを提供しなきゃいけなくなる(ハードルが上がる)が、安ければ「精一杯やってるんです」と言い訳ができ客に文句を言わせないというズルさもある。

 流動的な時代に一辺倒な考え方では適応できず、円安だから国が儲かる時代ではなくなったことを再認識しつつ、円安の時は円安の時でスポットで稼ぐ(インバウンドとか)柔軟性を身につけていく必要がある。

 適応能力が問われる時代。