バーキンは突然現れる。

 12月のある日、いつも通り支払いをしようかという時、突然「ご希望のものとは全く異なるのですが、バーキンご覧になりますか?」と出没した。

 最初に脳裏をよぎったのは「ついに出たなバケモンめ!」というセリフだった(笑)。言わなかったが(笑)。

 新品の売り物のバーキンをブティックで初めて見た。確かに美しい。

 で、色もサイズも金具の色も“リクエスト”と異なり(革だけ一致)、迷わず見送った。

 アホかおっさんと思われるだろう(笑)。

 買い物を始めてまだ3ヶ月。

 色・サイズなどを細かく指定しなければもっと早く(もしかすると1-2ヶ月で)買えたかもしれず、まずは何でもイイからできるだけ早くバーキン欲しいという人は、サイズ、本体の色、金具の色のどれか1つに絞って指定した方が良いかもしれない。

 全然こだわりがないと転売屋もしくはすぐに手放しそうな(売りそうな)客に見えるので、自分のキャラや生活様式と一致した指定を何かしらした方が良い(気がする)。

 ちなみに私は全て指定している(笑)。

 「バーキンまでの購入額はどこで決まるのか」でも書いたが、「リクエストが通った」と感じたその時から商品さえあれば勿体ぶらずに出てきたと思われ(その後2回ほど到着を待ってるだけっぽい会話があった)、お金に余裕がない人はソコから焦って無理しない方が良い。

 待ってる間に焦って欲しくもナイ品を買ったりしていると、再び転売査定フラッグが立ち振り出しに戻るかもしれないから。どう考えても赤レンジャーが青いコスチュームは買わないだろうという単純な理屈。

 累計購入額は関係なく出る時は出る(人[客]次第)。私は待ってる間にもペースを変えず買い進め、いわゆる「1:1説」(バーキン相当額)を少し超えたタイミングだった。

 巷の定説である「担当さん」も「お名刺」も要らない。デパート外商もクレジットカードコンシェルジュも使ってないし、誰かの紹介もないし口利きもない。ゼロスタート。

 ただ、現時点では十分な知識と情報がないため、リクエストに応える形で出てくる品と(名札付きで出てくる取り寄せ分みたいな)、途中でスーパーフリーや顧客フリー、或いはキャンセル分などが偶然回ってくるケースを私はまだ正確に識別できない。

 今回のは顧客フリーかキャンセル分のフローティング(宙ぶらりん)バーキンっぽい気がした。

 非常に綺麗な色かつ人気のサイズだったので、大した額使ってない新参者の私に「ご希望とは異なりますが」と前置きしながらも見せてくれたということは、少なくとも歓迎されない客ではないという認識で、「あれば出す」という店側の意思表示として受け止めた。

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 意外に思われるかもしれないが、一貫してエルメススタッフは嘘はついてない印象を受けている。確かに何かと曖昧で確約のような言葉は全くないが、曖昧さが嘘に聞こえた時点で認知バイアス(疑っているとか被害妄想とか)があり、感情を取り払い日本語を文法通り受け止めるならば、嘘は付いてないと感じている。
*/

 通常ならば、出てきたものをさっさと買って「早くもファーストバーキン購入!」と投稿するところだと思うが、SNSのようなマウントの取り合い下におかれているわけでもなければ、広告を入れてないこのブログはアクセスを稼いでもしょうがない。

 私の場合「とにかくバーキン欲しい」という物欲ではなく、どうやったら世界中で多くの人々が大変な想いをして手に入れたがっているバーキンを買えるのかを知りたいという知識欲で動いているので(ロレックスも同じ)、偶発的に出てきたバーキンを買ったところで私が必要とする結論が出ない。

 要は「たまたまフリーに当たっただけ」のラッキーな事象だったら再現性がなく何の分析にもならない。

 角度を変えて、男なんだからプレゼントでも装うなどして「とりあえず買って売れば元が取れるのに!」はもっともだが、ソレをする客が多いから転売査定期間が長くいつまでもリクエストが通らないんじゃないかという私自身の見立てに基づき、今後も「不要なものは買わない」で通す。

 私のリクエストは細かいので、希望通りの品が出てくるまでもう少し時間がかかる可能性があり、ココから数年かかったら遠慮無く指を指して笑っていただきたい(笑)。

 それでも130万円超のバッグを妥協して持つもんじゃないので(それを私がするとむしろ地上(笑)でのイメージダウンによる損失の方が大きい)、よそ見はせず前進する。

 当初のプロファイリング通り、エルメスは1人のスタッフから買い続けなきゃいけないわけじゃないし、いわゆる“1:1説”のような「いくらお金を使わなきゃ枠ありバッグは出さない」という基準もない。これは確信した。

 肝は覚えてもらえるかと、転売しないことの見定めだけだろう。

 実際のところ本当にモノ不足のようで、途中ガーデンパーティやエブリン、馬飾り(ロデオ)、人気の革小物なども「ご興味ありますか?」と一応見せておくよ的に出てきた。

 言うまでもなく脇目も振らず猪突猛進的に前進(笑)。

 ソレを「つなぎ止めて期待させていつまでもバーキンを出さない」と受け止める人もいるっぽいが、私はあるモノはとりあえず全部見せて隠し球はないという正直な接客だと感じている。

 枠ありバッグのカウント期間は元旦から大晦日までと聞いた。極端な例だが仮に12月末に買っても01月頭に希望の品が入れば販売するとのことだったので、購入実績は年末でリセットされないことを意味する。その短期間でまたバーキン相当額を使うわけではないから。

 そもそも1年の半分を過ぎてから(すなわち07月以降)買い物を始めた場合、待ってる間に年を越す人が大半だろうことから、全体の半分が不利になるような年末リセット説はアホ過ぎる。

 前年の購入実績から翌年のステージが決まるか、スタッフ端末で確認できる2年分の履歴で判断かのどちらかだろう。

 というわけで、当初の見立てを維持し、何も変えずに引き続き。