干し杏子と赤しそ漬け杏子。

 私は杏子(アプリコット)が好きで、味にとどまらずアロママッサージを受ける際もキャリアオイルにアプリコットカーネルを指定するか持ち込むくらい杏子の全てが好き。

 ここまで読んだらまるでラブレターだが、ここから読んだらまるでストーカーの供述書かと思うだろう。

 つい最近、信じられないほど上品かつ控えめな甘さでいてキャラメルのような香ばしささえ放つ干し杏子に出会ってしまい、来る日も来る日も売場の前を通る度に立ち止まっては通り過ぎそして戻って結局買ってしまう。

 チーズとコニャックに合わせようものなら、チョコを食べ始めると止まらない女の子なみに手を伸ばしてしまう自分に、間違ってもこの大寒波の中ベランダで葉巻に火を付けないよう言い聞かせるのが大変で、幾度となく窓から木枯らしの東京を見下ろしてはコイーバの黄色いラベルに目をやっている。

 この干し杏子、もし手足を縛られてたとしても、そのまま噛みつくだろうことを何ら疑いもしないくらい美味しい。

 周囲に誰もいなかったら、もはやフレンチブルドッグが新鮮な黒毛和牛を見た時の顔と見分けが付かないだろうなという気がしつつ。

 更には赤しそ漬け杏子という珍しい漬物(?)にまで出会い、これまた美味しくもうウィ・アー・ザ・アンズくらい杏子ざんまい。

 私に娘が居たならば迷わず杏子(あんこじゃなくてあんず)と名付けたに違いない。そして“アンジー”と呼んだだろう。

 アンズリーナ・ジョリー的な。ちょっと訛った感じで。

 アプリコッツ(なんで急に複数形なのか、これが恋というやつか)はシャンパンにも白ワインにも合うし、上手く料理すれば赤ワインにも合う万能な食材。

 アプリコットに限らずバラ科のものは全部好き。

 ついに正体を現したか節操のない男と思われただろう。否定しない。

 大袈裟でなく、私ほどバラを食べた(飲んだ、塗った、贈った・もらった)男もそういないだろうというくらいバラに囲まれた人生。バラの花びら入りのダマスクローズジャムとか、バラのハチミツとか、ダマスクローズティーとか、ダマスクローズオットーのエッセンシャルオイル(一時期グラム当たり金[ゴールド]より高かった)でアロマトリートメント三昧の日々とか、数千本のバラ(生花)で作ったクリスマスツリーをプレゼントしたりとか。

 多分始まりは16才の誕生日

 そして“バラ色の人生”も欠かせない。

 知人(外国人)女性が数年ぶりに日本に遊びに来た際に手土産にもらったヘネシーXO。日本に来てから買ったそうだが(笑)、バラの花ももらった。

 ちなみにサクランボもバラ科。いちごも。アーモンドも。

 アーモンドは意外な気もするが、本来杏子で作る杏仁豆腐の偽物(笑)に使われるくらい系統が似ている。

 というわけで杏子美味しいという記録(笑)。