嗚呼、愛しのケリー。ケリーも突然現れる。

 結局のところ、枠ありバッグは全部突然なんだが(笑)。

 今回も、色もサイズも好みでなく見送り。

 再びアホかおっさんと思われただろう(笑)。

 本当にその色・サイズのケリーを欲している人が手にする方が、持ち主もバッグも幸せになれる。

 ※ヨーロッパではバーキンよりケリーの方が圧倒的に買いづらいとは聞いていたが、欧州に住む東スラブ系知人女性から「転売屋の手に渡るくらいなら貴方が持って(保護して)」と言われ、思わず唸った。彼女は昔からバーキンもケリーも持っているブティック組。

 モノの価値を考えたら、好き嫌い抜きにして買うべきだという人もいるだろう。確かに売れば確実に利益が出るペースでバーキンもケリーも見せてもらっているが、その差益を必要とする生活を送っていない。私は。

 ※現時点での累積購入額と、出てきたバーキン+ケリーの定価の合計額がちょうど1:1になった。バーキンの時は購入額の方が若干上回っていたので、追いついた。

 私が今年案内される枠有りバッグ(訳ありバッグじゃなくて)は年間2つを軽く超えるだろうと勝手に想定しているので、言って見れば余裕ぶっこいていると自主申告しておく。

 ※後で吠え面をかく時は、吠え面をかいている様子を詳細にレポートする(笑)。

 私の最終的な標的はもっと先(チョモランマ)にある。

 年初にケリーが出てくるということは、世間で言ういわゆる“実績”は年始〜年末で区切ってないことがわかる。恐らく端末でスタッフが確認できる2年分で見ていると感じている。

 かといって他の顧客の2年分と私の昨年秋以降の合計額とでは大きな差があるので、累積、単月合計、四半期合計、移動平均など、多角的な判定がなされているのかもしれない。とりあえずは転売の可能性を排除でき、なおかつ「継続的な関係性」が重視されているといったところか。漠然としているが。

 バーキンと同じく、売り物のケリーをブティックで見たのは初めて。思いの外ショルダーストラップが短かったものの、ワンハンドルは上品で美しい。ディナーやフォーマルシーン向き。

 丈夫そうな素材と何よりも外縫いなのが良かった。シャキっとキリッとエレガント。170万円台で、内縫いと比べて15万円程高いとのことだった。

 ケリーについてはこれまでの会話の中で「興味がある」と伝えている程度で、特にコレというリクエストはしていないので、本当に偶発的な遭遇。

 バーキンの時も同じく、私が見る前も見送った後も、買い物しないエルパト組が「バーキンかケリーはありますか?」と尋ねてもスタッフは「確認してきます」→「申し訳ございません、ご用意がなく」と応えていた。

 スーパーフリーと顧客フリーが存在するのは確かっぽい。世間の噂や説はほとんどが勘違い・思い込みだが(笑)、時として(一部は)正しいこともある。

 私が店内に入った時点で、見えるところに既に服の購入が決まった常連客っぽい夫婦がいたが、そちらにはケリーを紹介しなかった様子なので、どういう基準でバッグを見せる・見せないを決めているのかまだワカラナイ。

 推察として昨年11月頃からもしかするとスタッフ毎に年間割当枠があるのかなと思い始めている。前述の夫婦には私とは異なるスタッフが対応していた。

 仮にそうだとすれば、在庫があってもスタッフ個人が扱える個数内で誰にいつ売るかを選ぶ必要があるため、バッグの割当の区切りが年始〜年末なら、年始は客選びがシビアかもしれない。あまり年初に勢い良く出し過ぎると後半弾切れになるから。圧倒的お気に入り客なら揺るがないと思うが。

 疑うまでもなくスタッフ間でもバーキンとケリーは取り合いだろうから、公平性を保つためにそういった社内ルールがあっても不思議ではない。私の見立てでは役職は関係ない。

 それによって同じ金額使っていてもバッグが出てくる客そうでない客がわかれるんじゃないか。

 現時点では「何となくそんな気がする」レベルなので読み流していただきたい。

 ※もう1つ気付いたことがある。後述(*1)。

 ということから、私の個人的な見解として、1人のスタッフにこびりつく(笑)よりは、たまに他のスタッフから買うのもイイんじゃないかと思う。まだ弾切れでないスタッフと相性が良ければサクッと出してくれる可能性がある。

 気前が良さそうなスタッフには年前半に、慎重派スタッフには年後半にあたってみるとか。スタッフAが休みの時はスタッフBという具合に、メイン・サブもありだろう。どうせいずれは異動するんだから並行して関係を築いておくのも良い。

 とにかくモノ不足で、スタッフ側も出すタイミングが難しいはず。

 国内エルパトブームで顧客が増えた分、いつかは枠ありバッグを出さなきゃいけない対象客が増えたのに対し、モノが不足していてスーパーフリーを出す余裕がないどころか、顧客フリー分も全く足りない印象。

 と言いながら、今回もフローティング(宙ぶらりん)ケリーのようで、他の顧客のキャンセル分とかかもしれないが、「お好みとは全く異なるんですが」と前置きがありつつ、「見るだけでも」を快諾してくれたので、「あれば隠さない」という姿勢を改めて感じた。

 私とゲームをしたくないのか(笑)、店舗の方針なのか、たまたまそのスタッフと相性が良かったのか、まだサンプルに乏しく判定が難しいが、世間が言う“エルメスゲーム”ほど過酷でも難問でもない。

 革の色、金具の色、サイズ、素材、内縫い・外縫いなどの好みが細かくなければ、バーキンもケリーもそこまで大変な想いをしなくても、何かしら買い物をしていれば出てくる。ただし何も指定しないと転売を疑われる可能性もあるので、そこのさじ加減は重要。

 ※前述の通り、スーパーフリーを出す余裕はなさそうなので、「買い物をしていれば」という前提。大きな買い物をする必要はなく、スカーフとかベルトとかマフラー、手袋などそういうもので十分。

 もし年末にバーキンを買っていたら待ち行列の後尾に送られ、今回のケリーは出てこなかったのかそこら辺もワカラナイ。ただバーキンを見送った時に「仮に今コレを買ったら、年明け早々に好みの色のバーキンが入った場合、私には出ませんかね?」と質問したところ「全くそんなことはありません。あればお出しします」と返ってきた。すなわち年始ゼロスタートではない。

 何気に私はエルメススタッフの言葉は、その通りの意味で受け止めている。

 確実に言えるのは、世界的に共通する噂として「一度見送ると次はなかなか出てこなくなる」というのがあるが、そんなことはない。

 こういった説のほとんどが感情論と思い込みだと思われる。

 恋い焦がれて好き過ぎて、でもなかなか振り向いてくれない相手のことを次第に嫌いになるという人達がいるのと同じで、自分の思い通りにならないと何かしらケチを付ける(嫌いなところ探しが始まる)、或いはもっともらしい理由付けをしたがるという癇癪と自己の正当化みたいなものが多い。

 では、前述の「気付いた点」(*1)について。

 バーキンが出てきたときも、今回のケリーが出てきたときも、直前に本社所属かなという雰囲気の異なる関係者を見かけた。本社=メゾンではなくオフィス側。顔つきや姿勢などから店員上がりではなさそうな人。いわゆる大卒・スーツ組的な。バッグを出す・出さないを決めているのは店長も含め店舗スタッフではない(=本社管理)かもしれない。私にとっちゃ当初からの見立て通りの展開だが(店舗スタッフの役職とバッグの取扱権限は関係ないことを意味する)。

 癒着や業者との共謀など不正防止の観点から言えば、それがイチバン良い。

 ※もしかすると都内の一部店舗で先行して試験的に導入している販売方法かもしれず、どこにでも今すぐ当てはまるとは言えない。観察段階。

 あと1つ不思議に思っている点として、なぜ私の好みでないサイズ・色のバーキンやケリーを「お好みとは全く異なるんですが」と前置きしながら敢えて私に出すのか。

 好みでないものを見送るかを試しているのか。

 確かに見送れば転売目的でないことが確定する。

 が、1回ならまだしも2回も。

 どちらも私の好みでなかっただけで世間では人気のサイズ・色だから、想定顧客は山ほどいるだろうが、わざわざそんな貴重なものを「そのサイズ・色はない」とほぼ分かりきった私に出す点が興味深い。

 「誰よりも優先している」というアピールなのか。

 自覚しているが私はまだそこまでの客ではない。全く。

 或いは、私が見送ると分かっているからこそ出してみるのか。結果として1つのバッグで2人以上の顧客を魅了することができる。

 そんなケチな手法は使わないか(笑)。

 「あれば出す」(隠さない)という姿勢はバーキンの時でしっかり伝わってきたし、それを1回で感じ取れない鈍感な男だとも思われていないはずだし、そもそもそこまでして私に分かって欲しい理由もないだろう。

 エルメスはなかなかオモシロイ。非常に興味深い。

 上から目線で嫌な印象を与えるかもしれないことを承知の上で言うと、参戦当初思っていた以上にエルメスは賢い気がしている。

 世間で言うエルメスゲームは、すごろく中のちびっ子の癇癪みたいな視点で語られる印象が強いが、“ゲーム”の本質はもっとトロッコ問題や囚人のジレンマのように複雑で、思慮深さと知能の高さを感じている。

 この“ゲーム”のシナリオを描き構造化した人物をプロファイリングしたくなってきた(笑)。

 もともと興味の対象はソコなんだが。

 というわけで、私の中では“ゲーム”第一章のクリアが近づいていて、ファーストバーキンを購入したら、その後は予定通り2店舗、3店舗と拡げていく予定。どっちが先かというタイミングで“ホーム”という概念もなくなり、「エルメス」という看板を掲げたクラウドサービスのように、路面もデパート店舗もオンラインも扉の向こう側で全てつながるだろう。と予測。

 クラウドは見方を変えるとブラックボックス化でもあるんだが。