「“一律6万円でコロナバブルだ”との声も…休業したら純利300万超になった飲食店経営者が指摘する、時短要請協力金の「不平等」 【ABEMA TIMES】」

 確かに一律だと小規模店舗ほど“儲かる”可能性がある。

 これを売上規模に合わせて支給すると今度は利益率の高い店ほど保証が最大化する。

 例えば10,000円のワインを20,000円で出しているレストランと、10万円で出しているレストランがあり、売上に応じて協力金を支給してしまうと、実際は利益まで保証していることになり、いわゆるボッタクリ店ほど恩恵が大きい。

 ということから記事にもあるように、納税履歴からというのが公平だろう。

 直近1年の確定申告で提出された経費から算定。もちろん確定申告していない店舗は残念でしたということになり、「いざというときのためにも申告はすべき」という流れを作ることができる。

 しかしソレでも十分ではない。

 「経費」といっても、家賃や社員の人件費など営業するためには確実にかかる費用と、営業しなければかからない費用がある。

 食材費は営業しなければ仕入れる必要がないので飲食店に対し補償する必要はなく、対応が必要なのは食材屋側

 また、例えば“見た目”を売りにしている店舗で、従業員のヘアメイク代を経費としている場合は営業しなければ必要のないものなので補償する必要はない。

 もっと言うならば、アルバイトのように時給制の従業員の人件費は、営業(勤務)しなければ本来かからない経費なので、補償すべきかというとそれは難しいというのが現実だろう。個々人の収入減少具合から別途(店に対してではなく)対応する必要がある。

 最終的に「社会保障とは何か」の本質を問うならば、過去に納税した額に応じてが公平だと言える。利益が出ると経営者の家族に給与を割り振って(経費を割りまして)、会社の利益をトントンやマイナスにし、法人税を一度も支払っていない店舗もあるだろうから。

 一度も税金を払っていない事業者が、これまで沢山の税金を払った事業者と同じように補償が受けられてしまうと、扶養・被扶養の関係になる。すなわち払いっぱなしの人、もらいっぱなしの人という社会的存在自体が対等でなくなり、これをきっかけに税制が破綻する恐れがある。

 かといって一般的な飲食店は利益率が低いため、直近の決算がトントンやマイナスだったからといって補償をゼロとする必要はない。同業種平均からスコアリングし(すなわち偏差値化)し、過去の決算から算出した最低限の必要経費に対し補償度合いを決定すれば良い。

 そうなれば、下手に節税・脱税するよりは、日頃からちゃんと納税しておこうという事業者が増えるだろう。

 そのためにはデジタル化が必要。

 要は納税者がバカバカしくなるようなことをしてしまうと、将来の社会保障の原資を減らすことになるので、できるだけ納税した分だけ補償が受けられる(払った分だけサービスが受けられる)という流れを作る必要がある。

 ただ現実は、細々とやっている(=日頃から納税が発生しない)小規模店舗ほど補償を必要とすることの方が多く、そもそも税制や累進課税制度自体が公平でないという根本的な課題を抱えたままであるという点もいい加減先送りすべきでないところまで来ている。