有事のエルメス、ロレックス買い?

 昔は有事のドル買い、金(ゴールド)買いだったが、リーマンショック以降は、「有事の円買い」が続いた。その度に日本人は「(何も良いニュースがないのに)何で円が上がるのかワカンナイ」的な。

 パンデミック以降は消費者の不安心理の表れか、エルメス買い、ロレックス買いの傾向が強まっている。極端に。

 どこのブランドも海外からの荷物の到着の遅れなどでモノ不足に困っていて、それが「手に入らない」感に拍車をかけている様子もあるが、確実に定価以上で売れるエルメスとロレックスに集中しているのは、何かあった時には現金化できるようにという消費者の不安心理が少なからずあるだろう。

 ※その昔、ある車のディーラーから「買う前から売るときのことを考えて色を選ぶ人も多い」と聞いたことがある。自分の好みよりも値下がりしにくい人気色を選ぶらしい。

 更に、高値で売れるもんだから転売目的の層や、本業不審でサイドビジネスの商材探し層が流れ込み、ますます品不足になってエスカレートするという循環にある。

 もはやパンデミック初期のトイレットペーパーやマスク並(笑)。

 その他のブランドも、売り切りのシーズン物よりも中古の売買価格が下がりにくい定番物に人気が集まっている

 これらは日本だけでなく世界的な傾向。

 私はこれまで、エルメスはスカーフくらい(それも15年くらい前)、ロレックスは全く興味なしという人生を送ってきたため事情に詳しくなかったが、最近何かとロシア・欧州の富裕層からエルメスとロレックスの名前を聞くようになり、少しは勉強して観察対象としている。

 そこに“相場”そのものがある。

 プレミアムカード系のコンシェルジュデスクも力及ばずらしく、それで再びデパートの外商担当を欲しがる人が増えているっぽい(日本の場合)。そこら辺でも力関係が移動している。

 まさしく前述のトイレットペーパーとマスクと同様、欲しいモノを手に入れてくれる人を欲しがっている世の中。

 まぁ、自分に力がない人は他人の力に頼るしかないので、頼られる側はますます強くなる構造下にある。“顔”がブランド化するし、恩を売れば権限が増す。

 格差が開くほど、結局はまた“コネ”社会になるのかもしれない。表向き開かれた社会になりつつ、実際にはいかに特権階級と結びつくかという媚び社会(?)的な。

 そういった事を観察するのがオモシロイ。