エルメスは担当制なのか。その2。

 社内(店内)で「担当」という言葉は日本語として存在したとしても、「担当制」販売方式かというと多分違う。

 と私は感じている。

 ※私は今年のことしかワカラナイので、飽くまで今現在(2022年10-11月)の話。また現在のテーマは新規エルパト組がバーキンを買うまでなので、その後固定客に対し店舗側の連絡窓口がつくことは何ら否定しない。いろんなスタッフから同じ案内をもらうのは鬱陶しいので、窓口が一本化されるのはごく自然なこと。

 「日本語として存在」とは、例えば取り寄せを頼んだ場合に、商品到着の連絡を誰がするかという意味での担当者。「この件を担当した者は〜」という文脈における担当者。

 エルパト界で言われる通称「担当さま」(に絞って買い物し続けなければバッグは売ってもらえない)が指し示すところの担当者は、「客から指名されたスタッフ」として担当化するものと思われる。

 要は客が名指しで来店予約してきたり、来店時に「●●さんはいらっしゃいますか」と尋ねてきたら、店側としてはわざわざ別のスタッフを付けるわけにもいかないし、他のスタッフも積極的につきづらい。見方を変えると「あー、私じゃダメなのね」ということでもある(笑)。

 言って見れば、エルパト組が勝手に創り上げた仕組みである可能性がある。

 参戦前の下調べ段階で、私は試しにいくつかのエルメスブティックで何度か気になる商品(バッグではないもの)の型番をメモってもらった。

 普段私が立ち寄るシャネル、ヴィトン、フェンディ、ディオール、カルティエ、ティファニー、ベルルッティ、バーバリー、サンローラン、セリーヌ、ボッテガ・ヴェネタなどは、常にスタッフが自分の名刺の裏にメモって渡す。

 「私から買ってね」アピールが強い。初めて入った店舗で1円も使わずに帰る場合でも、すぐにでもショートメールでのやり取りを開始することを希望するブランドも多い。成績になるんだろう。当然他のスタッフに取られたくない。

 エルメスはショップカードの裏(笑)。

 成績にならないんだろう。むしろ名刺なんか渡してバーキン欲しいとせっつかれても困るんじゃないかと私は受け止めた。

 しかし世間のエルパト組の受け止め方は真逆で、「名刺をくれないからもらえるまで頑張る」という方向性。

 そんなにブティックの店員に媚びる・こびりつく(笑)客にバーキンを売りたいだろうか。憧れのエルメスに入社し、そんな客を見たら幻滅しないだろうか。

 と私は思う。

 ではなぜ「バーキンへの道」として1人のスタッフから買い続けるべきだと信じられているのか。これは日本だけに限らず、欧州でもそれを実践している人達が一定数いる。

 多分だが、何度行っても顔を覚えてもらえない人達が大量にエルパトに参戦したからだと考える。

 昔はエルメスのような高級店に人がごった返していることなんてなかったので、2〜3回買い物するだけで全ての店員が客の顔を覚えるのが普通だった。

 しかし近年急激に人口密度が高まった。

 なおかつ身なりもオーラも社会的地位も使う金額もエルメス側の想定とは異なる人達(かつあまり自己肯定感が高くない人達)がエルパトをするようになり、エルパト組は覚えてもらうための苦肉の策としてスタッフ1人に的を絞って(すなわち狙い撃ちで)通い続けるという手法が主流となったと考えられる。

 昭和のサラリーマンの営業みたいな感じ。何度も足を運び相手が根負けするのを待つ的な。

 そして終いには「愛を語る」ことが秘訣だとさえ言われている(笑)。巷では。

 入社試験と間違ってないか(笑)。

 では、エルメスで「覚えてもらう」ことがどう重要なのか。

👆転売ではないこと(買った物を使っていること)を目視確認してもらうため。

✌️他の店舗の客ではない(いわゆる“ホーム”である)ことを認識してもらい、当該店舗の顧客枠のバッグを出してもらうため。“ホーム”という概念があるならば。

🤟久しぶりに買い物した際に、過去に当該店舗で購入履歴があることを覚えててもらうため。

 などが考えられる。

 確かにこれまで書いたような転売リスク査定を考えたら、買った物を身につけていき、売った本人(担当したスタッフ)に見てもらうのが一番手っ取り早い。他のスタッフだとパッと見どこの店舗で買ったものかワカラナイ(常に新規扱いされる)から。

 美容師やエステティシャン、アロマセラピストなどのように、技術やセンスの相性が重要で担当がいた方が良いということもある。

 ではブティックで担当が必要だろうか。

 よっぽどファッションに疎い人ならエルメスのスタッフからアドバイスを受けようと思うかもしれないが、エルメス製品を当たり前に買える人達は既に他のハイブランドで自分のスタイルができあがっていて、他人のセンスを挟む余地がない。通常は。

 ※これが最初に書いた「使い分けてる感があった方が良い」という根拠でもある。

 もちろんサイズや色の好み、価格帯、欲しい品などを把握してくれている人の方が話が早いというのはあるが、あんなに高い物を買うのに、ある店員が出勤か休みかなんて気にする必要があるのか。

 当該店員が異動・退職になったら終わりなのか。

 そんな心中型ビジネスモデルはないだろう(笑)。結婚紹介所じゃないんだから。

 その1でも書いたように、エルメスとしてはバーキンを餌にスタッフが調子に乗ることを防ぐ必要がある。特定の“担当者”に依存する仕組みは構築しないだろいうというのが私の見解。

 よって店側からイベントのお誘いなどの連絡をする際の連絡窓口(担当者)は存在しても、その担当者を喜ばせないと(浮気せずに一途に買い続け“成績”に加勢しないと)バーキンを売ってもらえないという担当者制度にはしない(はず)。

 客側が指名した時にのみお気に入りスタッフ=担当者になるんじゃないか。

 以前は店舗ごとに招待していたイベントもエルメスジャポン管理になったそうだが、これが意味するところは「店舗や担当者に客の選定を委ねない」という方針であると私は受け止めている。

 ※単に複数の店舗から同一顧客が招待され枠を無駄に消費しないように一括管理したいだけかもしれないが。

 ということから、仮に以前は担当者という存在が重要だったのだとしても、今現在は違うというのが私の見立て。

 そもそも顧客ファーストの考え方であれば、客がいつ誰から買おうと、どの店舗で買おうと勝手であり、常にどこででもその顧客の購入実績に応じたサービスが受けられるのが本来の形。

 本社にとってどこ・誰であろうと利益は変わらないし。

 成り上がりのイケイケブランドならとぼけたこと(笑)をする可能性は大だが、老舗の上場企業であるエルメスはその辺熟慮しているだろう気がする(期待している)。

 かといって何か証拠があるわけじゃないので、覚えてもらう(転売屋じゃないことを認知してもらうために)1人のスタッフにこびりつく(笑)戦法は悪くない。特になかなか覚えてもらえないという人にとっては。

 私はどこにいっても一瞬でしかも何年でも(笑)覚えられるタイプなので、似たような人以外は真似しない方がいいかもしれない。

 重要なのは、なかなか名刺がもらえずソレがストレスになっている人は、あまり“担当”のことは気にしなくてイイんじゃないかということ。

 と同時に、私が考えているように担当制ではなかった場合、名刺くれくれ攻撃や「私の担当さんになって😍 お願いっ🥺 じゃなきゃ私飛び降りるからね😡」(大袈裟か(笑))は相手の負担になりむしろ逃げていくんじゃないかということをおせっかいながら指摘しておきたい。

 恋愛で男性から「重い」的なことを言われたことがある女性は特に。自分が愛したから相手からも愛されるかというとそうではないから。

 私のスタンスは、指名して欲しいとか、私から買って欲しいとか、相手からそういう気配を感じない限り、自ら指名はしない。

 用がないから(笑)。

 というわけで、欲しい物がなくて困っていたところ、そろそろ新しい品が入り始めるとのことだったので、引き続きその時その場で割り当てられたスタッフから買うとする。

 ありのままをレポートするので、スタンディングオベーションの準備と併せて腹を抱えて笑う準備もしておいていただきたい(笑)。