エルメスのボーナス紹介とは。

 エルメスで大きな買い物をした際に、サービスとしてバーキン(などの枠ありバッグ)が出てくる「ボーナス紹介」という言葉を以前どこかで読んだ記憶がある。

 参考までに共有すると、私が見送ったバーキンはソレじゃない。

 平均すると私は1回あたり15万円くらいの買い物しかしていなくて、フローティング(宙ぶらりん)バーキンが出てきたのは、その平均を大きく下回る小さな買い物の時。

 沢山買い物して通称“担当さん”を喜ばせたらからお返しとしてボーナスバーキンが出てくると考える人がいるのはわかる。一般的な営業職と客の関係性。

 が、私の見立てでは店側から見た「喜ばせたい客」(歓迎されている客)が先に決まっているように感じる(または「転売リスク査定が済んだ客」かもしれない)。だから都度決済額はあまり重要じゃない気がする。

 ※かといって決済額に応じたボーナス枠の存在自体は否定しない(後述)。少なくとも私のケースは異なるという事実確認として読んでいただきたい。

 私の場合、そもそも好みの品が少ないし、かつ品不足でいよいよ買う物がなく、リクエストバーキンが到着するまでの間の“つなぎ”として出てきた印象がある。いつまでも何もナイと「本当にこの店・スタッフは出す気はあるのか」という気になる人が多いだろうから、「希望の品さえ入れば必ず出しますからね」の意思表示的な。

 しかし世間では、最初に「バーキンはない」と言ったのに、買い物したら「確認してきますね」と言って「ありました」となるケースもあるらしい。これもどこかで以前読んだ。

 そこで「沢山買ったら“じゃぁ出すか”となるのよきっと」という思考・感情は理解できるしエルメスもビジネスなので十分あり得るが、顧客に対し「ない。やっぱりある」なんてそんなあからさまな嘘はつかないだろう。常識的に。少なくとも私を接客した7人のスタッフからそういう印象を受けなかった。

 「嘘つき」疑惑から始まる関係性とは危い。当該顧客が1年後その店のVIPとなった時「そういえばあの時オマエ」とか言われると困るだろう(笑)。

 それでも世界的に、客側からはバーキンのある・ないは常に重ね合わせ(笑)の状態にあるように見える。

 不確定性バーキン。

 なぜそんなことが起きるのか。

 例えば、顧客Aに提案してみようと店内一致で確保されていたバーキンがあるとする。そこに顧客Bが「バーキンありますか?」と聞いても「ナイ」と返ってくる。

 本当は裏にあるこのバーキンは、顧客Aのための取り置き分なので、昔日本の店舗でたまに見かけた「売約済み」の赤い札付き商品と似ている。目の前に商品があるのに、もう売り先が決まってるから「申し訳ございません、完売しました」となる。

 だからこの場合のエルメスの「ナイ」は嘘じゃない。

 正直に「アンタに売れるバーキンはない」と言って欲しい日本人は少ないだろう(笑)。

 仮にこのバーキンが昨日入荷したものであれば、「本日は入荷がなく」でもいい。

 何も嘘をついていない。

 顧客Bはバーキンがあろうとなかろうと実績積み上げのために買い物をする。そして支払いまでの間に、

 ✊別室で当該バーキンを見ていた顧客Aが見送った。

 👆顧客Aの来店は当分ないことが決まった(電話確認)。

 ✌️顧客Aが余所の店舗で枠を使い果たした(履歴参照)。

 🤟顧客Aがどうもメルカリに出品してるっぽいことが判明した(転売疑惑)。

など、何かしらの理由で顧客A向けの取り置きが解除され、フローティングバーキン化する。

 そこで顧客Bがまだ店内にいれば、バックヤードで「これ解除。出していいよ」と共有され、ついさっきまで「ない」ことになっていたバーキンが「ある」に変わる。

 という流れじゃないか。

 顧客Bが買い物してる間にバーキンが届いて急いで検品し出せる状態になったというわけじゃないだろうし、買い物したからナイはずのものがアルことになったわけでもないだろう。

 ※スタッフが客の顔を覚えていなくて、買い物した際に購入履歴を参照して、「あー、うちの常連客か」とやっと気付いてもらったみたいな影の薄い人には途中で対応が変わることがあるかもしれない。

 エルメスは客の出入りもスタッフの数も多く、在庫のステータスは常に変動していると思われる。

 観測しようとすると結果が変わるバーキン。

 量子的でキライじゃない(笑)。

 で、ボーナス紹介の話に戻ると、イベント時などに売上上位顧客向けに予め用意されている「賞品」的なバーキンがあってもおかしくない。販促バーキン。マーケティングバーキン、盛り上げ用宴会(笑)バーキンなどいろいろ。

 同じように「今月の上得意向けバーキン」や、上場企業の数字調整用「四半期決算バーキン」や、年末・年度末(*1)の「今年・今年度売上上位顧客向けバーキン」など、スポット的に用意されるものもあるかもしれない。

 その場合、例えば売上1-5位(他者)のために取り置いていた分が、自分が今支払った分で5位以内に入ったもんだから、たった今対象者となったことで「ない」が「ある」に変わっても何もおかしくない。

 ※変数と同じ。変数のラベルが例えば「1位」であり、中身(実体)=誰は変わる。「社長の椅子」のように、社長が変われば座る人も変わる。ラベル「1位」向けのバーキンは、その時点で1位の人に出される動的な存在。「●●様」向けではないということ。

 しかし、ソレだけだとお金を使ったもん勝ちの仕組みなので、多くの大衆エルパト組にはツマラナイだろう。

 私は全くもって上位に食い込むほどお金を使ってないし(未だに200万円を超えてない)、「当年の上位」はおろか「今月の上位」にも入らないし「今週の上位」にも「本日の上位」にも入らない額で出てきましたよという事実を共有したい。しかもまだ3ヶ月。

 なぜかは知らないが、何かしら気に入られているのか(笑)。昔からどこででもそういうことが起きる。私は。

 ソレじゃ参考にならないだろうから、その辺を引き続き観察し核心に迫りたい。

(*1)エルメスは12月決算なのでカレンダーと同じでわかりやすい。四半期は1-3月、4-6月、7-9月、10-12月。