「AIデータセンター急増で電力需要は“激減”か | 日経クロステック(xTECH)」

 私もそう思う。

 電力需要が急激に増加すると「このままでは電気が足りなくなる!」と騒ぎが起きる。

 しかし実際は、供給される電力の範囲内で活動するしかないという結論が先にある。

 電力の取り合いになった場合、仮にオークション形式にしようものなら、裕福な人しか生活できなくなる。まともな社会でこれは採用されない。

 ではデータセンターはどうだろうか。資金豊富な巨大企業しか電力を確保できなくなったらベンチャーも育たないどころか「電力特権階級」が誕生する。よってこれも採用されない。

 ということは、供給される電力の範囲内で活動するしかない。

 記事にもあるが、日本の場合は2000-2010年をピークに、一世帯あたりの電力消費は20%ほど低下している。今後は人口減でこれが加速するだろう

 データセンターの場合、確かにAIサービスの普及などによって一時的な電力需要増が生じるかもしれないが、需要に供給が応えられない場合、サーバーラックあたりの電力消費上限量が設定される(昔からある)。

 サーバーラックとは24U収容型なら1Uサーバーが24台設置できる。当然に先進国の場合ラック設置面積あたりの高額な土地(場所貸し)代がラック使用料に乗ってくるため、できるだけ24台埋めたい。

 車の駐車スペースに例えると、1台分のスペースに入りきれないから2台分借りなきゃいけないとなると、個人の贅沢使用ならそれでも良いが、企業のコスト構造としては決して優れたものじゃない。

 それと同じで1Uサーバーあたりの消費電力が上がってしまうと、24Uラックに12台しか設置できないということが起こりうる。

 それがそのままサービス価格に転嫁され、サービス物価高を引き起こし、お金持ちしかインターネットサービスを受けられなくなってしまう。

 従って、消費者が納得のいく価格でサービスを提供するためには、企業はできるだけ1台あたりの消費電力を抑え、データセンターでは可能な限り24Uラックを100%無駄なく使うことが最善策となる。

 ということから、「●●を提供するために、あと■■電力が必要だ!」ではなく、「現状の電気代と場所代を踏まえると、今提供できるサービスはコレだ!」という考え方で社会は成り立っている。

 結論ありきということ。

 もちろんそのままでは経済が停滞してしまうし、企業は競合に先駆けて低価格サービスを打ち出しシェアを獲得したいため、省エネ技術に先行投資し、その恩恵が数年後に適切なサービス価格となって消費者の元に届くという循環にある。

 2005年頃、故スティーブ・ジョブズが「ワットあたりの性能」という言葉を多用したことが全て。

 アメリカ大統領選を見ると、トランプ氏は「CO2排出量とか脱炭素とか言ってたら競争に負ける」(パリ協定から脱退)という考えなので「そんなことよりもまずは規模の拡大を」という方向性にある。

 一方ハリス女史は現行の環境政策を継続すると見られているので、省エネの方向だろう。

 それらを踏まえて予想すると、向こう4年間で省エネ+高性能化が期待されるところ。