2022年秋の丹青会に行ってきた。

 丹青会(新宿伊勢丹)に行ってきた。

 しかしイマイチ見所がない。ヴィトンの特設会場で新作の一部をちょっと早く見られました程度。

 一般客が居ないからか、普段の伊勢丹よりは客層が落ち着いている印象だった。

 三越逸品会のようにニューオータニの場所代をかけ一見豪華に見せるか、現在の丹青会のように特別招待日(一般客に対しては休館日)を設け伊勢丹の中で行うかは、その日の売上によって検討されるところ。

 逸品会は当日セットアップでスタッフが疲弊し覇気がないから、客としてはそんな顔を見ながら買いたくない(笑)。疲れが出るということは見合った売上がないんだろう。せめて前日搬入、翌日撤収だが、全体としてもその費用をかけるほど売上がないということか。

 一方、丹青会の特別招待日(金曜日)は一般客が入れないので、丹青会客の売上が普段の金曜日の伊勢丹の売上を上回れば良い。これはまだ可能性がある。

 ニューオータニの場所代(とセットアップの手間)が浮いた分、丹青会での買い物に対しMIポイント+2%は合理的だと言える。

 高島屋の貴品会も含め、問題はハイブランドがデパートに付き合わなくなり、これといった見所がないという点。ブランド側としては、「特別」をデパートに提供するよりも、本店や路面店のために用意したいのは当然。

 ※似たような傾向は国産ブランド(ファッション、ジュエリーに限らず)にも見られ、小売店で買うよりもオフィシャルオンラインショップで買った方が良い特典を付けたり、オフィシャル限定の商品を用意して誘導している。そのうちアップルストアのように直販が基本になるだろう。

 逸品会や貴品会のようにこれみよがしに高額なものを並べても、それはお金さえ出せばいつでも買えるものばかりで、近場に住んでいる人達にメリットがない。年に2回田舎から出てきて外商を連れ回し買い物するのがタマンナイ(笑)的な人達向けだと言える。

 言うまでもなく、逸品会や貴品会にはシャネル、エルメス、ロレックスの姿はなく、華やかさにかけるどころか、むしろブランドのデパート離れの方に眼が行ってしまうため、いっそ丹青会のように「いつもの伊勢丹」を見せた方が安定感がある。その点においても伊勢丹は合理的。

 結局のところ、イベントに参加しない、ポイントを付けない、外商の顔も効かないという具合にデパートとブランドの関係が浅くなってくると、そう遠くない将来退店の可能性がある。ただの賃貸契約(場所貸し)と同じだから。するとポイントを付けないブランドに関しては、早くから本店や路面店との付き合いを重視する客が増えてくる。シャネルやエルメスは既にそうだろう。

 ということから人気ブランドをつなぎ止めるために何ができるかがデパート側の課題だが、日本の古典的な営業会社が欧米のスーパーブランドと渡り合える気がしない。

 ケチばかりつけていて、楽しみにしている人達には申し訳ない。

 私は常にプロファイリングと観察学習が主で、今よりも3年後5年後を読み解くことに興味があり、そういったところばかりを見てしまうため、一般客はまだまだ楽しめているのかもしれないと付け加えておきたい。