デパート外商とエルメス担当者の紹介の考察その2。

 外商経由だとむしろハードルが上がるんじゃないかということは初期に書いた

 当時はまだバーキンを買う前だったので、今回は実際にバーキン2個買った後の振り返り視点で。

 デパート内エルメスブティックにいると、土日は結構な頻度でデパート外商員が客を連れてエルメススタッフと引き合わせているシーンに遭遇する。

 で、客(大抵カップル)がペコンペコン頭を下げながら「どうぞよろしくお願い致します」と挨拶をする(笑)。保護者同伴の面談みたいな感じ(笑)。

 バッグは出ないだろうなと思う(笑)。

 まっ、そこは私の感覚的なものなのでおいといて、昭和の営業会社そのものであるデパート外商部が好むエルメススタッフとは「売上成績ナンバーワン」とか「バッグ販売数ナンバーワン」とかそんな感じじゃなかろうか。エルメスが販売員の成績を外商部に公表しているかワカラナイが。

 もし、とても感じの良いスタッフだが売上は普通というAさんと、あまり感じは良くないが売上はNN期連続ナンバーワンというBさんがいた場合、恐らくBさんを紹介する。デパート外商員は。

 なぜかというと、最終的にバッグが出さえすれば客に顔が立つので、Bさんがどんな人当たりが悪くても「まー確かにちょっとツンとした感じはありますが、優秀なのは間違いありませんので」と成績(事実)を持って客を説得することができるから。

 Aさんだと最初は良くても、しばらく経って「全然バッグ出ないんですけど」と客の機嫌が悪くなってきて、外商員の紹介したスタッフがショボかったがために「無駄なお金を使わされた」なんて流れになりかねない。評判も含め、他の売上にも影響を及ぼすので、外商員としてはそれは避けたい。

 で、Bさんに外商経由の客が集中する。

 問題は、仮にエルメススタッフ1人1人に、枠ありバッグの年間割当個数が予め決まっていた場合、Bさんからバッグが出る確率は下がるという点。

 もしこの割当個数が、前年度の成績に応じて増減するならば、成績の良いBさんへの割当は他のスタッフよりも多いだろうが、その差異(Bさんの優位性)を上回る数の外商客が付いてしまうと、結局はバッグが出る確率は下がる。

 Aさんに年間12個割当てられていて、外商客が12人ついている場合と、Bさんに年間24個割当られていて、外商客が30人ついている場合、どっちがイイ?という話。

 こういう状況下において、Bさんは全外商客を喜ばせることができないから、客を選ばざるを得ない。

 その結果、“塩対応”されながらお金を使い続けるしかない落ちこぼれ客が生じる。

 「お金を使い続けるしかない」なんてことは本来ないんだが、「Bさんが売上ナンバーワンだ」と言われて紹介された場合、多くの人はそこにすがるから。

 途中で担当者を変更して更に失敗するかもしれない不安から、自分の判断よりも「外商員の紹介」を選ぶ人が多い。外商員のせいにできるから(笑)。

 だから他人の力に頼る人とは総じて弱い。

 誰だって人気のある店で(バッグの入荷数が多そうに見えて)、人気のあるスタッフ(バッグを沢山売ってそうに見える)から買いたがる。ましてや多少なりと内情を知ってるっぽい外商員の紹介ともなると。

 が、「人気のある店」「人気のあるスタッフ」「内情を知ってるっぽい外商員」の全てが他人の力であり、自分の能力や努力はそこにない。

 その激戦区で“選ばれる”ためには客自身が高偏差値である必要がある。買い物額トップとか、店内で「この人にバッグを持って欲しいランキング」(?)上位とか。

 すなわち実績か人気か。

 というのが私の見解。初期と変わらず。

 ※あくまで東京での話。地方ではもしかするとまだ外商に力があるかもしれない。

 他人の力に頼らず自分で。世界中の人々が欲しがる売り手市場の物なので、結局は自分(客)側が査定される立場にあるという大前提で。