「ルイ・ヴィトンが茨城県内撤退へ…唯一の直営店がある水戸京成百貨店から、12月25日を最後に : 読売新聞」

 茨城県にヴィトンブティックがあることに驚いたが、エルメスも同様に着実にハイブランドの東京一極集中が進んでいる。

 転勤が当たり前だった日本社会も変わりつつあり、地方への移動を嫌うスタッフが増えると現地採用するしかない。が、現地採用すると東京本社との温度差が激しく、知識はまだしも感覚の統制がとりづらい。

 また今後予想される日本の人口減による消費の低迷を考慮すると、それを補うインバウンド需要が見込める地域に集中する方が経営的にも合理的だと言える。

 同じく、既にココ数年続いている人材不足も人口減で加速することから、少ないスタッフで効率良く稼ぐためには、必然的に上位顧客に集中する必要がある。

 その準備かなと思う。

 新宿伊勢丹の売上は上位5%の客が50.9%を占めており、残りの49.1%を占める95%の客を捨てて従業員を1/3に減らしたとしても、上位5%の客に十分過ぎる人員の割り当てが可能になり、利益率も売上も伸びると考えられる。小売り業は人件費が最大コストだから。場合によっては食料品売場以外は週休2日でも良いかもしれない。

 なぜ49.1%の売上を失うのに売上が伸びるのかという点だが、日本のような均等混在社会ではVIP層(特に要人、有名人など)の購買が伸びず、そこを改善すれば青天井化する。狭く個室のないブティックは一般客しか相手できないし、個室があったとしても入口から個室までがオープンスペースだと意味がないので、本来は雨に濡れない車寄せから個室まで完全に独立した通路を設けた方が良い。

 より沢山の客を相手しようと思うとそういったスペースが専有する面積が惜しくできるだけ商品を陳列しようとするため、現状はVIP層が求める設計とは大きくかけ離れている。

 そこら辺をデパート外商部が顧客宅まで出向いて商品を紹介するなど人力で補ってきたのが日本式営業だが、デパート業界自体が高齢化が進んでいて、いつまでその力業が使えるかもわからない。栄華を極めたバブル期組も退職時。

 ということから、少数精鋭で売上を維持・拡大していくためには上位顧客に集中をという流れは自然であり、海外ハイブランド勢はもう日本のデパートの営業力・集客力に頼る必要もなくなったことから、東京などの大都市部の路面店で上位顧客が求める店舗作りに専念していくと思われる。